保存は目的ではない

むかしから人々は大切なものをみんなで守ってきました。それは信仰であったり、風習であったり、生活習慣であったりもですがそれを伝統や文化という言い方もします。

その実践をしてきた建物などは、今でも文化財として認定されて保存されています。しかし現代は、その文化財の保存は文化庁や行政が行うことになりあまり地域やそれまで守ってきた人たちとの関係も薄れてきています。

その当時は、何かの店舗であったり役場の代わりだったものが時代が変わり使われなくなっています。誰も来なくなったものもかつては役目を果たした建物だからと文化財として保存することになります。

確かにその文化があったこと、歴史があったことの価値を後世に伝えることは大切です。しかしそれが保存だけになってしまえば、維持するのにも大変な労力と費用が掛かってしまいます。

同時に今の時代に相応しいものに甦生させて活用していくことで、もともとあった文化の意味や歴史が現代につながるのです。

人が何かをするときは必ず理念ありきで、何を変えて何を変えないかを決めることが先にあります。何のためにそれを遺すのか、何のためにそれを修繕するのかをまず定めたなら変えるものと変えてはならないものが定まるのです。

そこからは大胆に手をいれて甦生させていけばいいのです。

結局、法律や制度に依存してしまい目的や理念をおざなりにしたら形的には保存できても本質的な保存ができなくなっていきます。これは文化財などに限らず、組織や会社、あらゆるものに同じことが起きます。

何のためにを定めたら、目的を忘れずにかかわる人たちと一緒に取り組んでいけばそこに智慧も生まれ、活用方法にいたるまで磨かれていくうちに達していくのです。つまり保存は目標にはなっても目的にはならないということです。

現代は、文化が物凄い勢いで消失していく時代です。私の取り組みが子どもたちの新しい文化の活用になっていくように取り組んでいきたいと思います。