この世に生まれてきてもっとも大切なものは何かと問われたら何というか。これは人それぞれに異なると思います。ある人は、愛といったり、またある人は感謝といったり、人それぞれです。しかし大前提としてもっとも重要なことがあります。それは時間というものです。人がその大切なものを感じるためには時間が必要です。時間は、実はもっとも大切なもので誰もが共通する重要なものです。
自分の時間を何に使うか、それが大切なことということです。
この時間は、空気や太陽や水と同じようになくてはならないもっとも大切な存在です。これがなければ生きていくことはできません。しかしこれも当たり前になっていくからつい忘れてしまうものです。
幸田露伴の幸福三説の惜福、分福、植福があります。これは惜福とは、一度巡っていた幸運をすべて使い切ってしまわないこと。分福とは、自分に巡ってきた福を独り占めしないで周囲にも分け与えること。植福とは、自分の生きている時代を超えた先を見て福を植えることです。
これはそのまま時間にも当てはまります。つまり時間を惜しみ、時間を分けて、時間を植えるということです。大切な時間を惜しむように使い、その時間をみんなと分かち合い、子孫のために時間を使うというものです。私はこの3つの生き方を尊称して、「一期一会」という座右に籠めて自戒して生きています。
私の一期一会の生き方は、この時間というもっとも大切な福を常に意識して生きていこうとしているということになります。
よく周囲からは、5人分動いているとか、密度が濃くて疲れないのかなどといわれます。確かに客観的見ても、多動でありとあらゆることに興味をもって取り組んでいるように見えるので余計にそう思われるのもわかります。
しかしその中心は、時間というものを活かそう、時機に合わせて順応していこう、今を生き切っていこうとして努力精進しているだけだと私は思います。
あとどれくらい生きられるのか、あと何回、毎朝起きることができて活動できるのだろうか。今の人生は一度きりですから、この時々に現れるご縁を大事に紡いで歩んでいくのみです。
一生をどう過ごすか、一生をどう生きるか。
それは誰にも選べるものです。今年の徳を学び直した一年でしたが、来年もまた今以上に徳行の実践を学び続けていきたいと思います。
一期一会の徳に感謝しています。