毎日、自然は大きくまた微細に変化して已みません。私たちは日々に何気なく暮らしていますが、空の色から土の様子、風の様子、あらゆる生命たちの循環、ありとあらゆるものが変化し続けます。
そして何も変わっていないように見えても、心身の状態、関係性の状態、あるいは宇宙の影響、無意識下での価値観の状況など刻一刻と変化しています。
その変化に気づくことができるかというのは、とても重要なことで私たちは自己を観察を通してあらゆるものを観察していくことで真の自己を捉えることができる仕組みになっています。
かつて日本人は、自然との共生において非常に豊かな観察を行っていたのがわかります。それは伝統的な古民家での暮らしや、日本人の詩のたしなみ、他にも美しい情緒を含んだ日本語の中にも観えてきます。つまり、私たちは日々に観察力を磨き続けて自然と共生する道を選んできたのです。
今のような時代、この日本人の暮らしてきた知恵や生き方は世界にとても偉大な影響を与えることができると私は思うのです。
日本の風土は瑞々しく、四季の変化は特に膨大です。その一つ一つの変化の中で、どのように自分たちをととのえて、何を活かしてどのように自然の動きを活用して生活を営むか。これは農の本質であり、私たちはずっとむかしからその中で百姓をしてきたのです。
百姓の知恵とは、この自然の観察によって磨かれたものではないかと私は思います。
私も、百姓のように様々なことに取り組みますが四季折々のタイミングに生きています。一期一会もまたここから発生してきたものです。自然は有難く偉大で、慈愛に満ちているものです。
どんなに大変な憂き目にあっても、また春が来て四季がめぐります。他の生き物たちも一緒にこの場所に生きてみんなで全体に対して自己を貢献させていきます。共生の原理を学ぶには観察の学問を実践することが普遍的です。
子どもたちにも、あらゆる自然との共生を観察の場を通して磨けるように様々な作法を開発してみたいと思います。