昨日、宿坊で子どもたちに炭を学び炭に触れる場を提供してきました。備長炭に火をいれて、囲炉裏を囲んで食を味わいましたがとても豊かな時間を過ごすことができました。
その中の一つに蒟蒻(こんにゃく)があります。もともと英彦山には伝統的な蒟蒻をづくりをしている方がいて、むかしの製法そのままに今でも英彦山の名物としてその知恵を伝承されております。感謝祭でも蒟蒻がメインになって皆さんがこんな蒟蒻は食べたことがないと大満足されていましたから今でも伝統的製法でつくり蒟蒻は人々の心を深く揺さぶるものです。
この蒟蒻は、実は世界でも珍しく「排出」を目的に食べられた食品だといわれます。栄養の摂取を目的だけに食べたのではなく、便通を良くして、腸内をきれいにするために好まれたものです。医食同源として、山伏たちがおすすめしたこともわかります。
もともとこの蒟蒻は仏教とともに中国から日本に伝来してきたものです。今から1100年くらい前に記された日本最古の薬物辞典でといわれる「本草和名」(ほんぞうわみょう)の中に、「古爾也久」(こにやく)として紹介されています。
蒟蒻は、「こんにゃく芋」(こんにゃく玉とも呼ばれる)というサトイモ科の植物の球茎から作られています。こんにゃく芋の原産はインドシナ半島が発祥といわれていますが東南アジアには約130種ほどの種類があるといわれます。しかしその多くは日本のこんにゃく芋と品種が違い、こんにゃくマンナンという食物繊維の含まず食用に適していないそうです。
日本では親しまれた蒟蒻ですが世界ではまだそれほどではありません。私たちの先祖は、その蒟蒻の持つ様々な毒を出し身体をととのえる効果に注目して定期的に食べ続けて健康を維持してきました。江戸時代には「砂払い」といわれ、お腹の中を綺麗にするために冬至に食べる風習もあったといいます。
先人たちの知恵を、子どもたちに伝承できることはとても仕合せなことです。ただの食べ物ではなく、これはどのような歴史でどのような知恵で今に受け継がれてきたのか。その知恵を使いながら伝承することがかつての本来の教育だったのでしょう。
宿坊ではじめての囲炉裏をつかった体験でしたが、子どもたちの一生の思い出になってくれたのではないかとも思います。引き続き、子ども第一義の実践を楽しんでいきたいと思います。