先日、親しい和紙職人と話をしている中で分断のことについて一緒に考えました。和紙も、楮などの原料を育て収穫する人、和紙にする人、そして使う人達がみんなが結ばれて繋がっているからこそ成り立ちます。
誰かがみんなで繋がっている役割を分断すればその仕事は立ち消えてしまいます。そうならないようにと誰かがその役割を担えばその分が大きな負担になって苦しくなります。
この話というのは、自然の循環と同じ話です。農薬や農業の効率化でそれまでのミツバチがいなくなれば、ミツバチの役割が分断されます。それを蝶が担うからといっても、ミツバチの分まで働くことはできません。こうやって自然界では一つ一つがみんなと循環して生きていますから、何かが失われて断絶するというのはみんなを苦しめる大変なことです。
だからこそお互いの役割を尊重し合って、繋がり結び合うことを優先することで自然は調和しています。調和をすることで、お互いが楽になり仕合せになるというのはこの地球にいるものとしては当たり前の真理です。
おかしな話ですが、もしもミツバチが自分たちだけで独占しようと他の生き物たちを殺してしまったりライバルをすべて排斥したらどうなるか。一時的には独占して裕福になったようでも、つながりが失われていくことで最終的には貧しくなって環境の変化に対応できなくなっていきます。
この循環の仕組みというのは、循環をさらに豊かにするというものと、循環を分断して貧しくするというものがあります。その循環をどのように調和させるかというのは、その生き物の生き方が関係します。
例えば、山であれば母樹の存在であったり、他にはオオカミなどの存在もあります。虫の中では、カマキリであったり、蜘蛛であったり、蟻であったりとそれぞれが絶妙に調和するように生きています。
調整や調和というものは、自然界全体が豊かになるように働いている存在です。無意識にもそれは自然から与えられていきます。自分で獲得したのではなく、まさに自然からその姿になるように与えていただいているともいえます。
だからこそ、私たちは何を守るかということを循環を軸に考える必要があります。明後日は、千葉の神崎のむかしの田んぼの新嘗祭があります。この田んぼは、無肥料無農薬で生き物がたくさんいる田んぼです。
その中で私たちもイキイキと元氣をいただき、一年の活動を支えていただいています。その田んぼに感謝して、その田んぼと共に人生を歩めることを味わう一年の大切な一日でもあります。
子どもたちにも循環の大切さ、永遠に生きていくための知恵を伝承していきたいと思います。