2023のテーマ

昨年は、英彦山の守静坊の甦生では本当に多くの方々のお力をお借りすることができました。お布施や喜捨をいただき、200名以上集まった茅葺屋根の葺き替えでは懐かしい未来を甦生することもできました。220年の枝垂れ桜も心に満開の花を咲いてくれて私の人生で忘れられない大切な記憶の一枚になりました。

人の心の美しさ、いや美しいものを観ようとして取り組むことでみんなもそうなっていきます。すべては不足から始まりどうなることかと不安ではじまりますが、きっと天や英彦山が見守ってくださっているという気持ち、そして困ったら助けてと頼る気持ち、そして一人でもやり遂げるという覚悟、そういうものの繰り返しのなかで美しいものをみせられたように思うのです。

困難というものや苦労は、時折辛く苦しい涙が出てきます。諦めかけたときにまだ手段があることに気づきます。そして丸ごと諦めた時、奇跡の手を差し伸べられることがあり感謝の涙が出ます。この貴重な経験や体験をいただけたことは仕合せでした。やろうとしてもできないようなこの困難や苦労は有難いものでした。そして多くの人たちに助けられ支えられたことも得難い体験でした。その中で、かけがえのない人生のご縁や出会いもいただきました。同志にも巡り逢いましたし、胸が熱くなるような言葉もかけていただきました。敵対するものなどはなく、どの言葉もどの人も今振り返ると必要な時に必要な声掛けと行為をしてくださったこともわかります。

昨年も様々な幸運に恵まれた一年でした。2022年のテーマ「いのちを磨く」はその通りの一年になったように思います。感謝しかない一年でした。2023年のテーマは「いのちを調える」ということにしました。

人は何のために生まれてきたのか、それは仕合せになるためです。これは人に限らずすべてのいのちは仕合せになろうとします。現代のような忙しさのなかで誰かに四六時中管理される世の中では、純粋な仕合せというものもわからなくなってきています。

いのちは仕合せの状態を生まれる前から自覚しています。その状態を調えることが、自他共にいのちを仕合せにすることです。足るを知ることも、徳を積むことも、いのちを調えるための道筋の一つです。暮らしフルネスもまた同様に、調える技術の一つでもあり生き方の方法です。

子どもたちが安心していのちの仕合せを生きていけるように、自分の代の責任を果たすべき残りのいのちを調えながら道を拓いて繋いでいきたいと思います。

本年もよろしくお願いします。