私たちは加齢とともに老化していく生き物です。漢方では男性は8歳ごとに、女性は7歳ごとに気が衰えていくともいわれます。死ぬまで元氣でいたいと思いますが、実際にはよく観察すると次第に元気が失われていくのも実感するものです。特に病気になると、その恢復において時間がかかったり思ったよりも多くの時間がかかっているのを実感するとその老化の現実を実感するものです。
漢方では、生まれながらに持っている「先天の気」と、生まれた後に取り込まれる「後天の気」があるといわれます。まず先天の気は胎児として生まれたときが最も多く、年齢を重ねるにつれて減少していくといいます。これは両親にもらった元氣のことです。内臓も元氣で、次第に使っているうちに消耗していきます。この先天の気は加齢だけでなく、生活習慣や過度なストレス、病気によってもすり減るといいます。いつかは失われていくものですから、意識的に養生していきながら長持ちさせていくしかありません。
もう一つは、後天の気というものです。これは生まれてから生きていくなかで、食物や呼吸によって補充されていくものだといいます。これを別の言い方では水穀精微の気ともいい、飲食物から得られる栄養物質のことです。後天の気は、大気という無限にある地球の気を呼吸によって吸収すること。あとは、大地の恵みとしての栄養を取り入れることです。先天は腎臓であり、後天は脾臓ともいわれます。
産まれてから死ぬまでに、与えられたものと後天的に補填していくものがあるということです。上手に老化していくことで、私たちはなるべく末永く健康を保つために色々と暮らしの知恵を活用していく必要があります。
具体的には、消耗しすぎないことときちんと蓄えることからだといわれます。健康を維持するために無理をしない、夜更かしもせず、暴飲暴食などもしない。疲れすぎないように心がけることです。少しでもながく先天の気、元氣を養うためにはもったいなく使い切っていく工夫が必要です。そのうえで、後天の気をどう充実させていくか。そこには、日ごろの食べ物を工夫すること。清々しい空気を吸って元氣を養うことです。
日頃から消化によいものを食べたり、主食をシンプルにして油っぽいものを避けて自然食にしていくこと。呼吸法などもととのえて、いつも穏やかな空気によって養生することなどです。
当たり前のことですが、元氣な時は気を付けないものも病気になるとその元氣の有難さがわかります。いつまでも健康で活動ができるようにするには、若い時からの養生が必要です。当たり前のことを気づけることは、本来の徳に気づくことに似ています。
今年は暮らしフルネスをもう一歩、進めていきたいと思います。