初夏の声

今朝がた、ホトトギスの声で目が覚めました。この鳥は渡り鳥で日本では初夏を知らせる鳥としても有名です。夏の季語にもなっています。有名な俳句に「目には青葉 山時鳥 初松魚」江戸時代の俳人、山口素堂のものがあります。

江戸時代、初夏になったと感じるのは新緑の美しさとホトトギスの鳴き声と初ガツオを食べることだったのでしょう。その頃の情景や風景を感じます。

この鳥は、朝も夜も鳴きますがこれはメスに自分の縄張りを知らせるためです。このエリアに後から飛来してくる雌に自分の場所を知らせて交尾をします。この鳥は、托卵といって鶯に自分の子どもを育てさせるそうです。卵のときはほとんど同じ大きさと色と形でも、大きくなったら2倍近くになりますから鶯も違和感があってもそこで放っておくことはできないのでしょう。またこのホトトギスは、他の鳥が食べないような毛虫を食べるそうです。餌が被らないように工夫して、それぞれに同じ場所で生活をします。そして托卵したらまた渡り鳥ですからまた故郷へと飛来していくといいます。

自然界のこの共生の仕組みは、絶妙になっていると感じると長い時間をかけてお互いに折り合いをつけてすみ分けてきたのがわかります。それぞれ同じ地球の恩恵をいただくもの同士でそれぞれに工夫をして篩にかけた結果ということかもしれません。

ホトトギスが夜に鳴くのは、飛来してくる時間が夜になることもあり、また日中に雌に出会えなかった雄たちがなんとか出会おうと必死に泣いているともいいます。あちこち場所を換えては自分の縄張りで鳴いている姿を感じると、自分の居場所を知らせようという鳴き声につい自分の耳も反応してしまいます。

鳥の鳴き声にも、色々な感情が乗っています。その感情を感じ取り、他の鳥も感応していきます。声や音というのは、とても不思議で私たちの心に響いてきます。

「ほととぎす 初夏の響き 余韻する」 藍杜静海

初夏の余韻を味わい、暮らしを伝承していきたいと思います。