宿坊の周辺の木に蔓が巻いていてそれを一つずつ取り除いています。長い年月、人が住んでいませんでしたからあちこちが蔓植物に巻き込まれています。このつる植物が巻き付くと、木も捻じ曲げられたり、枯らされたりもします。家にまで入ってくるものもあれば、屋根を含めまるごとのみこむものもあります。
この蔓というものの生態は、とても厄介で何回も取り除いてもこの時期に出てきます。実際に自然界では共生の原理が働いていますが、わかりやすいものもあればわかりにくいものもあります。ひょっとすると、木自ら求めて蔓を巻かせているものもあるのかもしれません。
山の中では、あちこち蔓が巻いていますから木の高い方で大量に巻き付いていると剪定がとても大変です。また倒木するにも、蔓があちこちにひっかかっていますから木も倒せません。
台風や災害などあれば、この蔓が支えることもあるのかもしれません。しかし葛などは木にとっては、あまりメリットがあるようには見えません。作業をすると苦労ばかりです。
しかしむかしの民芸などを観ていると、この葛をつかって様々な生活道具に活用してきました。強い紐やロープのような役割をしあちこちで活用されています。縄文時代においては、この葛は家や道具に使われたのかもしれません。
人はものの観方次第で、どうにでも活用することができます。ただの厄介者とみるのか、ちょうどいいとありがたいと感謝でみるのか。ないものねだりをするのか、足るを知るようなあるものを活かすのかでは全くその結果も変わってきます。
山にいると、色々なものの見え方を学び直します。子どもたちに、山で学んだことを伝承していきたいと思います。