熟成の知恵

私は味噌づくりをして日々に酵素玄米などを食べていますが、最近は熟成というものを深めています。燻製なども熟成していくなかで旨味を増してさらにおいしいものになっていきます。

そもそも美味しいという感覚は、どのような感覚なのか。それは体が求めているものであることはわかります。そしてもう一つは、生きているもの、魂が宿っているものをそのままにいただくことだと感じます。お菓子などの砂糖がいっぱいの甘いものや、見た目がいいものは脳が美味しいと反応しているものもあります。しかし体、つまり五感で味わう方の美味しいというのはまさに全身全霊で食べるときに感じるものです。

以前、禅の体験で食べる禅という丁寧に時間をかけて五感をフル動員して食べる体験をしましたがその時の食べ物で美味しいと感じるのは簡単便利に機械で加工した食品ではなく、身近な畑や果物、そして自分で栽培したり旬の野草をはじめその季節にしかないその土地のものを丁寧に調理した時の方が深い美味しさを感じました。

この深い美味しさはどれもいのちとの対話、いのちの喜びのような感覚のことです。

そして熟成というのはよく観察すると、もっとも熟れたタイミングまで待つということです。果物であれば、種がもっとも運んでほしいタイミング。体であればもっとも状態がいいタイミングなどです。栄養価ももっともすぐれていて、いのちが充実しているという変わり目の時です。陰陽であれば、陰極まり陽になるとき、あるいは陽極まり陰になるタイミング。季節であれば、夏至と冬至のタイミングです。

このもっともいのちが充実したものをいただくこと、それは太陽の光でもいい、あるいは月の雫でもいい、その時のいのちの中にもっとも熟したものがあると自然界から教わるのです。

私たちの人生もまた、その熟成期間というものがあるように思います。自分の人生のもっとも熟成された瞬間はいつなのか、その感覚はこの味噌や発酵、燻製をはじめ保存食から学び直せるように私は思います。

引き続き、子どもたちにも熟成の知恵を伝承していきたいと思います。