繋がりの結

互助や共助という言葉があります。助け合いの仕組みのことですが厳密には「共助」の場合は、医療制度や年金制度、や保険制度など制度化された助け合いを指す意味が強く「互助」の場合は近隣住民で日常的にお互い助け合い声を掛け合う、といった助け合いの意味が強くなるといいます。

どちらにしても、助け合うことで支え合う仕組みがある御蔭で人々は安心して暮らしていけます。

戦後は公的な公助ばかりをあてにするようになりこれらの互助や共助が失われていきました。保険を含め、金銭的な余力によって安心するようになり地域とのつながりや家同士の結びつきもなくなっていきました。家族であっても、それぞれにバラバラに別々の場所で暮らしていますし、頼り合ったりすることも減ってきています。

何をもって安心するかということが崩れていきますから、不安から余計にお金を頼る世の中になっているのかもしれません。本来、土地も文化も財産もみんなものという意識の時代がありました。歪んだ個人主義と共に、それも崩れていきましたが神社仏閣をはじめ様々な伝統文化や遺産もすべてはみんなの大切なものという認識の時代もありました。

とても一人では守れないからこそ、みんなで守ろうとしてきたから今まで守られてきたのです。それができない時代になったからこそ、今はどう守っていくかをそれぞれで苦労している人ばかりになっています。

生活文化というものも同様に、なんでもお金にするうちに生活文化そのものもお金になっていき本質も崩れてきています。親から子へ、そして先祖から子孫へと結ばれてきた暮らし方や生き方も伝承されずその知恵も失われていきました。

自然との共生も、互助や共助もそれは安心して暮らしていくための偉大な知恵を内包しているものです。

時代が変わっても、安心して暮らしていくためにはその繋がりの結を今の時代に甦生させていく必要があります。先人たちの知恵を学び直して、新たな知恵を革新していきたいと思います。