徳とは何か。

徳に関することわざの一つに「陰徳あれば陽報あり」という言葉があります。中国の思想書『淮南子(えなんじ)』に由来する「陰徳有る者は、必ず陽報有り。陰行有る者は、必ず昭名有り」から抜粋された言葉です。

そもそも徳とは何か。

言葉で語られる徳というものは、形があるようでなくなんとなく一般的に人間では善行のことを指すように言われます。しかし実際には、自然界で行われているような当たり前のことを実践することをいうように私は思います。

それが徳の本体です。

この当たり前に行われているというものは、この淮南子の文中においては山が雲を集めるように、水が深くなると龍を生むように、君子が道をつくるようにと書かれます。つまりは、自然にその徳が循環することをいいます。

そもそも相互扶助という助け合いや思いやりは、弱者のためだけに存在しているものではありません。これは本来、徳を積むものたちで自然に発生してきたものです。この自然に発生するということは何か。それは本能によって行われてきた自然的なものです。別の言い方では、野生的なものです。

私たちの所属している宇宙や地球は徳が循環することでいのちを分け合うシステムが働ています。これは身体の中を分析してもわかるように、全体が一つになって助け合うことで身体を維持しています。現代の医療は、分類わけして臓器を一つずつみたり、専門分野にわけてそれぞれの部位や病気などを診断する仕組みですが臓器が一つ壊れたら他の臓器との連携ができませんから体も壊れます。これは身体の話ですが、自然というものは本来そういうものです。

もともと何がいのちの正体で、どこからきてどこにいくのか。そういうものは哲学のようにいわれますが私からすればそれは徳の話です。本当の幸福や喜び、そして安心や永続はこの徳を拠り所とすることで得られるように私は思います。

歴史上、今の時代こそ、徳が必要な時代はありません。

同じ思いの人たちをどう集めていくか、試行錯誤の連続ですが目覚めて活動する人が増えるように道を丁寧に切り拓いていきたいと思います。