暮らしフルネスの秋

暮らしフルネスで暮らしを調えることは、病気にならない生き方に似ています。そもそも病気は、病気になってからでは間に合わず病気にならないような日々の暮らしを調えることに軸足を置くことからはじまります。

例えば、当たり前のことですが季節を感じながら五感を調える。生活リズムを自然に合わせる。旬なもの、またいのちが豊富にあるものを丁寧に食べて調える。呼吸を整え、今ここに集中して心身を調える。またよく歩き、重力や自らの身体の動きによって身体を調えるなど色々と暮らしを調えることができます。

医者にも、色々な医者がいます。今は緊急事態で応急処置ができる人がよい医者といわれますが、本来は病気にならないように見守って日頃から病気の根源や原因を防ぐような人がよい医者ともいわれました。今のような保険診療や補助金のようなシステムになってからは、診察や薬を出さなければ生計が成り立ちませんから名医はみんな治療する医者になってしまいました。本来は、病気にならないようにする生き方の模範が名医だったように思います。僧侶やむかしの医師はきっと、健康で長生き、そして精神も心身も調えることを日頃から実践されていた方だったように思います。そしてそういう生き方を目指して取り組まれていたのでしょう。

私も暮らしフルネスを実践していますが、自分が完璧にそれができるから提唱者というわけではありません。自分もそうありたいと挑戦をし、一進一退しながら七転び八起きをしながら日々に取り組んでいます。心も精神も体も調えるというのは、暮らし方を磨き続けていかなればできません。

今日は、昨日よりも少しできた、またはできなかったと反省しながら感覚を磨き、徳を積んでいくのです。しかしそうやって実践していくなかで本当の自分、本来の自分というものを忘れなかった一日はとても豊かで幸せです。

できた人がすごいのではなく、できない人がダメなのではない。大事なのは、先人の生き方を尊敬して自らも暮らし方を見倣って子孫のために精進していこうとする思いや行動にこそあるように私は思います。

引き続き、秋のこの静かで澄み切った月夜や空気に包まれながら晩秋の暮らしを味わっていきたいと思います。