果物には完熟期というものがります。これか果樹を観察するとよくわかりますが、周りの動物たちや鳥たちもその時期を分かって食べにきます。本来の自然というのは、いつ食べることがいいのか、そして食べる色がどうなっているのかをよく分かっているものです。
現代では、人間は色を着色して食べ物を出しています。脳がまずその色を見ては、この色は美味しいだろうと認識します。そして食べればその味を補正していきます。自分の知っているうまさに近いものに修正していくのです。一年中どこでも同じものが食べられることを目標にすると、本来自然にあったものを食べなくなっていくものです。
それだけ人間は思い込みである程度のことを判断しているということになります。私たちは感覚を発動させるために、先に脳が動きます。これは危険を事前に察知したり、あるいは情報を収集して最適な状況をつくりだすために行われてきたものです。
しかしその機能だけを発達させて他を使わないでいるとバランスが崩れていくものです。現在、様々な脳の病気や心疾患が増えるのもこの思い込みの仕組みばかりを使っているからかもしれません。
思い込みを外すというのはとても重要なことです。そのためには、日頃から自然の感覚を研ぎ澄ませている必要があります。この自然というのは、思い込まないということです。本来のものをあるがままに素直になって観るという生き方のことでもあります。
素直であればすべての真実を実感することができます。素直になるには、何が素直であるかを日頃から磨く必要があります。素直を磨いている人は、自然体に近づきます。自然体になれば、先ほどのような思い込みを使いません。全体が調和して感覚を使え、仕合せを深く味わえる暮らしがととのいます。
暮らしフルネスというのは、この素直を磨くことにも似ています。何が素直であるか、何が素直を磨くのかを体験することで人は自然体に回帰するのです。引き続き、暮らしの食をととのえながら素直を磨いていきたいと思います。