昨日は、二十四節気の雨水に入りひな人形をお祀りしました。このひな人形は私のメンターの一人、佐藤貞三先生から継承したものです。もう6年目になるでしょうか。もともと男兄弟しかいなかったこともあり、ひな人形とはあまりご縁がなく育ってきたから最初に拝見したときは大きな衝撃を受けました。
私にとっての人形というのは、祖父から戴いた端午の節句の時の五月人形です。人形というのは、どこか魂が宿っているようで幼い頃から怖いものがありました。子どもたちは幼少期から様々な人形に触れていきます。不思議ですが、愛着のある人形はその人と一対になっているような感覚もあり関係性の中に繋がりが生きているような気がします。人形の歴史は先史時代からあり、古代エジプトなどでもたくさん出土しています。人間が人形と共に歩んできた文化は、長い歴史があり日本でも様々なところで文化と融合して祈りから遊び、そして暮らしに根付いてきました。
ひな人形をお祀りするのは、一年に一度です。しかもそんなに長い期間ではありません。むかしはどのような気持ちでお祀りしたのでしょうか。一つは、身代わりとして厄を引き受けてもらおうとしたこと。もう一つは、女の子の健やかな成長を祈るためともあります。
また上巳の節句は、本来は3月最初の巳の日に、水に入り禊(みそぎ)をして厄を祓う行事でした。そこで人形(ひとがた)あるいは形代(かたしろ)と呼ばれる、草木や紙で作った人形に自分の穢れを移して水に流すことで厄を祓い幸せを願ったともいわれます。平安期の陰陽道なども和合しているのかもしれません。
いつもこの時期にひな人形をお祀りすると清々しい気持ちになります。一つ一つを飾り、祈り、お神酒をいただくのは習慣になっていますが仕合せを感じる大切な時間です。
伝承というものは、徳が喜び合う中にこそ太くなります。人の出会いやご縁からはじまったものが花が咲き実になり種になるには長い時間を要しますし奇跡の連続に結ばれます。
子孫へ、豊かで知恵のある未来を伝承していきたいと思います。