味を深める

味というのは不思議なものです。私たちは生まれてきて、色々なものを食べてきました。その食べたものを美味しいと思う感覚はどこから来るのか。最初に食べるときはお母さんから母乳をいただきます。そして身近な信頼できる存在から与えられたものを食べていきます。気が付くと、自分で食べたいものがでてきてはそれを食べるようになります。

美味しいと思うのは、自分のどの感覚が反応しているのか。これは一つは、身体が欲しているものということがあります。あとは、五感を含めて感じたものを美味しいと思います。味わいたいと思う感覚のものです。そのほかは、脳が知ってしまって自動化されたきっと美味しいだろうと思っているものを欲しがります。これは思い込みの部分が大半です。そうやって人間は、味を学びます。

他には、人生を味わいたいというように食べること以外にも味を感じようとします。つまりは、味とは体験の感覚のことで心や魂と繋がり得ている感覚ともいえます。さらに別のものでは妙味がわかるというように智慧とも結ばれます。自然や宇宙の真理とも味は関係しているともいえます。

私たちは味を人に伝えるとき、色々な伝え方をします。その表現の数は無数にあります。例えば、味わい一つにいっても食感や食音、複雑な風味や香り見た目や温度などニュアンスで人は味を伝えます。言葉にできないから味で伝えるのです。

味というのは、感覚を表現するもっとも私たちが直観し理解するそのものの本質であることがわかります。味を知り味がわかるというのは、奥深い真理がありそれが人生をどれだけ色鮮やかに豊かさを与えてくれるかと思うと偉大な感謝を感じます。

産まれてきて、味わえるという喜びは何よりも格別なものです。

その味を忘れてしまい、当たり前になったりあるいは忙しさのあまりに味わうのをやめて便利で時短のものにするのはとてももったいないことだなと改めて感じます。一期一会の味わい深いこの瞬間も、すべて味であるとし味を深めていきたいと思います。