自然の叡智

もともと文化というのは先人の知恵です。先人の知恵をどのように今でも暮らしに活かしているかで文化人かどうかがわかります。つまりは文化人とは、先人の生き方を尊敬しその知恵を今でも伝承している人のことです。

文化人とは決して何か崇高な職業や有名な伝統文化を継承している人たちだけのものではありません。つまり連綿と結ばれてきた歴史のなかで、知恵を守り続けていることが文化人ということでしょう。

地球のあちこち、つまりそれぞれの地域風土にはそれぞれの文化があります。これは長い年月の中で、その風土の知恵を活かしてきたものです。例えばこの地域を広げていけば、福岡や九州、西日本、日本、アジア、世界というように風土と文化は密接でそのエリアのなかで気候や自然環境によって暮らしと共に変化してきました。

私たちは都市化した生活に切り替えてから風土や文化を尊重するのをやめていきました。自分たち、人間の都合で便利な生活をするなかで最も失われていくものがこの文化や知恵ということでしょう。

知恵においては、私たちは自然の叡智や循環の仕組みをお借りして恩恵を得てきました。この知恵は、深い尊敬から常に産まれてきます。深い尊敬がなければ、浅知恵というようなものになります。

深さというものは、積み重ねてきたものです。経年変化に対して、知恵を活かし続けてきた証でもあります。それはとても深い知恵であり自然そのものの叡智に近づいていきます。

そう考えてみると、知恵とは自然の叡智そのものであることに気づきます。私たちも自然の存在として自然の叡智の結晶の一つです。だからこそ、自然であることを忘れずに自然の叡智を活かすこと。むかしの農家やむかしの先人たちの生き方をよく学び直して今に活かし続けることがその叡智を継承していくことにもなります。

常に新しいことにチャレンジはしていきますが、子どもたちの未来のためにもその根元にはいつも自然の叡智があることを忘れないようにしていきたいと思います。