日子鷹菜にはたくさんの乳酸菌が入っています。この乳酸菌とは「糖を利用して乳酸を大量に作り出す微生物の総称」のことをいいます。
簡単に言うとヒトの腸を通して健康に善い影響を与える「善玉菌たち」のことです。一般的にはお漬物やお味噌、醤油など古来から発酵して和食を支える中心になっている微生物のことです。
この乳酸菌は、科学的には乳酸発酵によって糖類から多量の乳酸を産生して悪臭の原因になるような腐敗物質を作らない作用があります。常に樽の中で微生物が数分から数時間で生死の巡りを何度も繰り返して新しい菌と死菌が蓄積していきます。お漬物はこの発酵作用によって発酵して熟成します。
世間で売られているような浅漬けで余計な旨味調味料などを添加しなくても、長時間木樽で熟成すれば次第に乳酸菌たちの醸す自然の滋味や旨味も出てきます。
それに植物由来の高菜の乳酸菌は、常に塩分濃度や酸度が高かったり糖が少なかったりと過酷な環境でも生き抜けるため動物由来乳酸菌と比べて強い生命力を持つといわれています。
実際にはこれらの乳酸菌は腸まで届く前にはほとんど死んでしまいます。たとえ腸に生きたまま届いてもすぐに消えてしまい乳酸菌がそのまま腸に住み着くことはほとんどありません。
しかしこの乳酸菌は、『触媒』といって腸の中の他の善玉菌たちを元氣にしてヒトを腸から健康にする大切なお役目を果たします。乳酸菌を日々の暮らしの中で摂取し続けていれば、それだけ健康が長く保てるということになります。最近の研究では、むしろ死菌の方が触媒としての効果を大いに発揮するともいわれます。
私たちの伝統在来種の高菜漬けは、少なくても180日間、長いものは15年ほど森の中にある漬物小屋の木樽の中で漬け込んでいます。お塩も天然天日塩で精製塩ではありません。また余計な添加物は一切なく、お水とお塩のみです。木樽の中の乳酸菌は何千億、何兆という数が今も発酵を続けています。
それをそのままに半日かけて乾燥させ、日子鷹菜スパイスにするとその数千憶単位の乳酸菌を日々に摂取することができます。本来、この乳酸菌はどれだけ日常的に摂取するかで腸内フローラや免疫、および健康を左右します。
最後に私たちが心から美味しいと感じるものは、私たちの腸内をはじめもっとも健康に保てるものを感じたときに一番深く感じられるものです。舌先三寸を誤魔化すような化学添加物で味わう「オイシイ」ではなく、心身全てで「美味しい」と感じられる美しい味わいを楽しんでいただければと思います。
むかしながらの大切な在来種の種でもっとも真心をこめてつくる味のなかには先人たちの知恵と美しい生き方があります。この美しい味をいつまでも子孫へ伝承していくために引き続き精進していきたいと思います。