歴史と伝承

昨日は、ご縁あって福岡県の秋月藩黒田家のご子孫の方が主催する塾に参加して色々と現地を巡り交流する機会がありました。秋月という場所は、周囲を山に囲まれた要塞の中に城下町があり今でもその頃の生活文化を実感できるところです。

私が尊敬する和紙職人がおられ、そのご縁で鎧揃えといった日本三大揃えの一つの継承活動にも参加させていただいています。

他にも秋月は、職人たちが今でもむかしからの特産品を大切に守り育てています。葛や川海苔は今でも大切に継承されています。伝統文化というものは、形の方を語られることが多いように思います。もう一つ、そこに伝承文化というものがあるように私は思います。伝統は、変化していきますが伝承は変化していきません。つまり、変わるものは伝統であり変わらないものが伝承なのです。

伝承というものは、純粋性が必要です。歴史であれば口伝のようにそれを大切に代々が語り継いでいくのです。職人であればそれを職人技によって伝えあっていくのです。そこに混じりけがあればそれは伝承にはなりません。混じりけはないからこそ、そのまま伝わっていくのです。

現代の歴史というものはそもそも遺っているものはすべて勝者の歴史です。特に教科書や本に記されるものは、記す側が認めていることが前提ですから不都合な真実は改ざんされるか消去されます。あるいは、別のものに挿げ替えます。こうやって歴史は現在の勝者たち、権力者たちのものになっていきます。

しかし、その中で人々が文字にはせずに語り継いでいるなかには勝者ではない側、つまりは敗者がわの歴史があることに気づきます。つまりは歴史の一部ではなく、歴史の全容が垣間見れるのです。

すると本当に学ぶべきものに出会えます。つまり温故知新することができ、懐かしさから徳を引き出し現在に智慧として活かすことができるのです。現代の問題点は、歴史を勝者側の片方からしか学ばないからです。ちゃんと歴史に学べば、智慧は今でも活かされ続けます。それを私は伝承と呼びます。

歴史的な場所に、伝承者がいるということで先人たちの智慧は子孫たちへと継承されます。それは目先の利益ではなく、まさに徳積です。

これからも仲間たち共に、今こそ必要な智慧を発信し続けていきたいと思います。