カグヤでは今年も無事に稲刈りが終わり、有難い収穫を味わいました。御蔭様で13年ほど、無肥料無農薬のむかしの田んぼでは田んぼの元氣も増え、収量も同時に増えて味わいも格別です。ある大学とご縁があり、うちのお米を調査したら抗酸化力が通常の有機農法のお米よりもさらに2倍ほど高いと大変驚かれていました。
田植えから草刈り、稲刈りとご祈祷、丁寧に暮らしをととのえていくだけで収量もよくなる不思議な田んぼとして周辺の農家からも驚かれているそうです。
もともと稲というのが循環の象徴でもあります。稲わらもむかしから生活の中に溶け込む藁製品になっていきました。例えば、草鞋やゴザ、鍋敷きや藁ぶき屋根、納豆づくりや芋の保存、他にも神事のしめ縄などにも使われてきました。捨てるところは何一つなく、まさに稲は日本人のむすびや繋がりの循環を支えてきたのです。
今では、稲藁を用いた繋がりは減ってきています。それは機械化や合理化によって、みんなでお米作りをすることをやめたことや効率優先で農薬などを用いるようになったこと、そして収穫した稲藁はそのまま裁断して田んぼにまいてしまうことなどから地域や人々との結びつきも希薄になりました。
私たちはお米を食べますが、先人たちは単なる「食べ物」ではなくそれ以上に「和の精神や生き方を体現する存在」として稲を尊い存在にしていたように思います。
子どもたちは現在、稲刈りを経験することもなくなってきています。またお米がどのようにできて、本当に美味しく食べる機会もなくなってきました。私たちの挑戦の一つとして竈で炭火で炊いたお米を毎月一度、保育園で炊いて子どもたちに食べてもらうような研修をしたところがあります。今では、園の大切な行事として伝承するところまで来ています。
お声をお聴きすると、子どもだけでなくそれだけで地域との結びつきが増えていったと喜んでいただきました。長い時間を経てきた和の伝承を、私たちも一緒になって次の世代へと結んでいきたいと思います。