お山の徳

日本にはたくさんのお山があります。このお山ではあらゆる人たちが長い間、お山の暮らしをしてお山と共に生きてきた歴史があります。山は、私たちが生活しているような平地の里とは異なり寒さも厳しく食料も乏しいものです。しかし、よく観察しているとお山の霊氣に満ちていて不思議と元氣が漲ってきます。

私たちは、山の中にいることで里や平地にいるときよりも何か大きなエネルギーをいただいているような気持ちになります。これは、お山の持つ徳のようなものかもしれません。

そのお山も山によってまったく種類が異なります。例えば、低いものもあれば、横に広がったものもあり、また岩でできているものもあれば谷が深いものもあります。それぞれに山の個性があり、それぞれにその山の気質があります。

以前、群馬の赤城山にいったときは強い圧力を感じ、滋賀の伊吹山にいったときは生命力を感じ、出羽三山や大峰山のときは澄み切った空気を感じ、京都の鞍馬山では厳父と慈母のようなぬくもりを感じました。

お山に入るタイミングなのかもしれませんが、何回も訪れているとそのお山の持つ深い心やいのちに触れていると自分の心身の調子も変わってきます。私たちはお山に入ることで、そのお山に抱かれそのお山の源氣を纏います。

英彦山は、宇宙根源の元氣を纏っていてまるで仙人たちの棲む伝説の蓬莱山の気配があります。

きっと先人たちがお山を歩くのは、そのお山の気質の學ぶことが修行だからです。私たちは場所の影響を受けて育ちます。それは植物だけではなく、動物をはじめ昆虫もすべてのものが同じです。その場所が化けたものが私たちのいのちの姿だともいえます。

それぞれのお山にはそれぞれの気質に合った人たちもいます。面白い個性を混淆和合させ、真の平和のために貢献していきたいと思います。