自然に倣う

現在、企業では人の採用に多大な費用を使って集めています。人口が減少していく時代は、今までの人数が確保できず体制を維持できなくなることから採用に躍起になります。高齢者の再雇用や外国人の採用、最初は女性からはじまりましたが今ではDXやAI,そしてロボットを導入して乗り切ろうとしています。

そもそも拡大をしていくことはできても縮小していくことができない経済モデルの中では人口減少というのは悪になります。しかし、いつの時代も人口は増減しておりその中で社会が上手にバランスを取って国家を運営してきました。

自然界においても、増えすぎれば減るのは当たり前で常に自然のバランスが壊れないように調整しています。競争社会というのは、自転車操業に似ていて走っていなければ倒れてしまいます。誰かが走り抜ければ、自分も負けないと無理をして競争します。そのうちにみんなのスタミナが切れて全部倒れていきます。

本来はみんなで協力して、ゆっくり走ったり弱る人を牽引したり助け合った方が遠い未来までずっと走り続けることができます。時代が大きな企業やどこかだけの企業に占有されるのがよい時もあるかもしれませんが、そうではない時代は小さく協力しあって分散しながら和合していく方がよい時もあるものです。

変化というのは、揺れ戻しというものがあり時代時代に右に触れたら左にいくように必ず中庸に回帰します。暑すぎる夏があれば、寒すぎる冬がきます。これもバランスによるものです。自然を変えることはできませんから、私たちは自然に従うしかありません。

先人たちはその理を自覚していましたから、自然の中で自分をどう振舞っていくことがいいかをみんなで考えて適応してきました。暑すぎないように寒すぎないように、自然のご機嫌をお伺いしながら自然が喜んでくれるように働きました。それは素材選びから、場所選び、そして好循環するように工夫してきました。

今の時代は工夫の意味も変わってしまい、何でも人間の思い通りになることを推奨してきました。その結果、誰も止めることができないような走り方をする人たちばかりが世の中の大多数になり、それが常識となってそろそろ環境も人も疲労困憊しています。

例えば、誰かが増やさないで足るを知るという選択をすること、消費をしないで生産をしようと選択をすること、また得を追いかけず徳を磨こうとすること、そうやって自然の営みの邪魔をしないように生きていくことで世の中に一つのモデルを示していくことはできるように思います。

世間はあと数年後のことで危機だ大変だと騒ぎ立てますが、本来は百年後、数百年後の危機に備えた暮らしをしていくことが人類の智慧だったはずです。

今、なぜ世間と別の道を往くのかといえば子孫の未来のためにや先祖たちが託してくださった思いを大切にしていこうと思うからです。

恐怖は勇気を引き出すものです。世の中が不安と恐怖で満ちるとき、同時に世の中は安心と勇気も満ちていきます。バランスは、いつも日々の実践の中で気づき磨かれるものです。

自然がそうあるように、自然に倣い行動していきたいと思います。