先日、糸を編みこむことを生涯の研究にされている方とお話する機会がありました。この宇宙は糸で結ばれ、それが縦横無尽に編み込まれているというのです。この言葉には、改めてハッと気づかせていただくことがありました。
現代の天文学では銀河団は銀河がたくさん集まったもので、それぞれの銀河団どうしは「糸」で結ばれて網のような構造になっていると考えられています。私たちがいる銀河系もまた別の銀河と糸で結ばれ合っているのです。これが編み込まれているということです。
今週末に世界一の万華鏡をつくる仙人が英彦山の守静坊に来坊され、仙人苦楽部と午後から万華鏡「幻妙鏡」の個展を開催します。その幻妙鏡の中の世界はまるで宇宙の銀河そのものです。
ある一つの万華鏡は、竹で編みこまれたものがあります。これは宇宙の銀河を包む超空洞(ボイド)を糸で紡いでいることが表現されています。天文学者が到達していない境地を、心の世界で追い求めそれを手仕事によってカタチに顕現されています。
まさに日本の先人たちが実践してきたモノづくりの神妙な世界観が仙人の手から産み出されているのです。
私たちのこの手は、まだ科学では解明できないことを様々に実現することができます。
糸といえばマハトマガンジーの糸車のことがあります。糸車で糸を紡ぐことを通してガンジーは、手仕事の大切さ、生産し自立することの大切さ、足るを知ることの大切さ、そして非暴力を実践しました。
宇宙というものは、この手の中に存在し、どのような手仕事を通してそれを學ぶことができるのか。今回の仙人苦楽部では、守静坊に300年ほど屋根を支えていた煤竹を使い、お茶の道具をみんなでつくりその手仕事を通して宇宙を学びます。
またその後に、万華鏡「幻妙鏡」を通してその世界を覗きます。英彦山という霊山は、まさに宇宙を眺めるのにとても素晴らしい場所です。そして徳が循環する経済を実践するのにとても親和性があります。
マハトマガンジーはインド独立に向けた最初の一歩目で唱えたことは「スワデシ」という言葉だったといいます。この「スワデシ」とは、ヒンディー語で「場所に基づく経済」という意味だそうです。まさにこれが徳積循環経済と同じ理念であり私が場の道場を創設した理由でもあります。
一件、万華鏡と徳積は何の関係があるのかと思われるかもしれません。しかし、それを糸で結んでみると、如何にこの手から創造される場所に真理があるかを実感できると思います。
この一期一会の秋の朝霧のお山の霊亀に包まれながら共に仙境の學びを楽しみたいと思います。