場に馴染む

身体というのはその場所と同化していくものです。それだけ場の影響というのは身体に大きな変化をもたらします。例えば、昨日までスリランカにいましたが気候や風土に身体が馴染みその土地の空気感と感覚と一体になります。感じる音や味、そして光や臭いまでその土地そのものの感覚になっていきます。途中で中国にも立ち寄りましたが、以前その土地に長く住んでいたからかすぐにその土地の場に馴染みます。帰国して一晩、実家で休めばまたこの場所の空気感に馴染みます。つまり、私たちは場に馴染むことでその場所の感覚に変わっているということです。

身の回りにあるものもその場所に馴染みます。どんなものでも馴染みます。それはその場所そのものと同化するというものです。これはいったい何を意味しているのか。それは場が生きているからです。この場が生きているというのは、その場が発酵し続けているということです。これは漬物の馴染むものにも似ています。漬物は漬ければ漬かっていきます。同様に、万物も場に漬かっていくのです。だからこそ人は、どの場に漬かっているかがとても大切になります。

また馴染むことで、自然にその場で得た感覚を獲得します。つまり身体と体感で得た感覚は、まるで一度覚えて馴染んだ言語を思い出し使えるように自然に馴染んだ場が身に漬かっているのです。

そして馴染んだ感覚の総合力が今の自分のいる場を顕現しています。つまり場が私であり、私が場になるのです。

山に馴染む、岩に馴染む、滝に馴染む、土に馴染む、どのようなものにも馴染むことができます。馴染んだとき、深い関係性が感覚を結びます。この馴染むという感覚は最も大切であるにも関わらずあまりその重要性に気づいていない人が多いように思います。

馴染むことを学ぶことは、場を學ぶことです。場を學ぶことは、いのちを活かし天寿を全うする道を得ることです。

場を磨き、場を創造し、場に馴染む生き方を顕現していきたいと思います。