伝承の真理

伝承というものは不思議なもので、言葉や文字では伝わらないものもあります。それは感覚として場を通して伝承するものであったり、何か自分の胎内に宿っているものが何かに目覚めるように伝承するものがあります。他にも、音による伝承であったり臭いなどの五感に感応して伝承することもあります。そのどれもが、一期一会であり誰から誰へかというものも奇跡的な確率で巡りあいます。

つまりこれらを深めていくと、伝承は全てご縁によって導かれているということです。だからこそ、伝承者という人たちもまた一期一会の存在です。

伝承者というのはその一生の人生において、ただ一心に伝承を生きていきます。見返りもなく報酬もほとんどありません。しかし、伝承しているという感覚だけは持っているように思います。その人生をやり遂げ、途中で道が絶えたように見えたとしても実際にはきちんと次の伝承者にバトンが繋がっていきます。この絶妙なバトンは、まるで糸が網羅しているように途切れることがありません。

つまり伝承というのは、網羅の中で行われている結びの系譜であり誰かが動けばその動いた網羅がたなびくように他の伝承者に電気信号のようなものが伝導していきます。

波動や音というものも同様に、音は消えているようで消えず網羅した糸を辿っては別のところに伝わっていきます。

この世には目には観えないものがあります。そしてまだ科学では証明できないものがたくさんあります。それは伝統や伝承に関わっているといつも実感するものです。

時代がどうであろうが、普遍的に伝承されてきた真理は変わることはなく伝道が永続しています。出会いを忘れず、ご縁に導かれ、一期一会の伝承に感謝して徳を磨いていきたいと思います。