場のご縁

私たちは「場」によってあらゆる影響を受けています。これは生きた人間だけではなく、動植物をはじめあるいは霊的なものや宇宙的なものにも影響を与えます。古代より、遺跡を調査するとその配置がとても絶妙であることに気づきます。これは龍脈のような気の通り道があり、太陽をはじめ星の運行と関係が深いこともわかります。また地名を調べると、その地名の奥深い意味の中にその場の持つ力を感じるものがあります。

その場をどのように保つかは、その時代時代のその場にご縁があった人たちの責任でもあります。その場を本来の場のままにするには、水の流れをはじめ風の通り、光が入るように調える必要があります。これを風水ともいいます。

かつては、その場をその場のままにしていくためにあらゆる工夫をしてきました。それが建築土木の智慧でもあります。木を見て森を見ずのような現代の取り組み方では、場が弱る一方です。

本来、これは建築と同じで大工さんをはじめ左官さんや庭師、あらゆる職人さんたちにはそれぞれの分野で磨き上げてきた技術や法則などの智慧を持っています。その智慧を結集して、どのように場をつくるかは場主が決めます。私は、神主などではありませんが場の感覚を持っていますから場のもつ本来の徳を甦生することができます。

場を感じる力は、場によって磨かれます。私は場道家を名乗りますが、それは場がわかるからです。

むかしは都を遷都して場を換えていくことが度々ありました。有名な遷都に桓武天皇のときの世があります。あの時は、和気清麻呂と空海、そして秦一族が智慧を結集して実現しました。

このお三方は、場の意味を伝承するものです。場を定め、場を甦生し、場を創るということ。

これから故あって奥の院や奥宮の場を新たにすることに関わりますが、心して場と対話していきたいと思います。