変化と智慧

人は、現実を変えたいと願うとき自分を変えるか、周りを変えるかという選択をしていくものです。自分自身をさらりと変えてしまう人、また自分は変わらず周囲を変えようとする人という具合に変化に対して向き合っていきます。

例えば、道を歩いて大きな壁や巨石があって道が塞がれるとします。その際に、それを避けていくのか、乗り越えていくのか、引き返すのか、悩み続けて座ってしまうのか、それは人によって異なります。

また自然界であれば、天候一つとってもどうにもならないことがあります。その時、ミサイルを飛ばして雨を降らすと考える人もあれば、別の日にすればいいと思う人、あるいは天候を利用しようとする人など判断は無数に出てきます。

変化に強い人と変化が苦手という人もいます。変化は、ひと時も已むことはなく誰にも起きることですからその変化に対してどのように生きていくかというのがある意味人間の修行になるのかもしれません。

若くて体力がある時のやり方や高齢で体力がない時のやり方、道具が揃っているときのやり方や大勢の人がいる時のやり方、その時々にあるものを活かして創意工夫して変化に適応していくことで道も拓けます。

人は色々なタイプがありますから、準備を丁寧に時間をかけて行う人と、その場その場で智慧を出していけばいいと軽装備で巧遅拙速に行こうとする人もいます。正解がどれかというわけではなく、今の与えられている環境の中で周囲の智慧を集め、協力しあって人類は生き延びてきました。

そういう意味で、人類は多様性があり選択ができ力を合わせるという智慧を持ちました。つまり、変化に対してどう生きるかというのは「協力する」ということが最も最善であることが分かります。

協力しあう体制にしていくことが真の変化への体制づくりであり、智慧を集めようとするのが変化に強い体制になるということです。

しかしそうならないのは、分断することや孤立すること、競争させることが原因であることはすぐにわかります。管理というのは、自律していない、あるいは協力しないからこそ必要になっています。自然というのは、管理しなくても自律的に循環して理想の変化に順応しています。変化に対して人工経営と自然経営というものがあるのかもしれません。

智慧を集める経営は、一緒に取り組む中で磨かれていきます。一緒にというのは、まさに和の真髄であり日本人が磨いてきた働き方の伝統です。

子どもたちに、日本的経営、自然経営、大人の働き方を譲り遺していきたいと思います。