今年もしだれ桜の御蔭さまでたくさんのご縁をいただく季節になりました。一つの木にも一つの物語があり、同じ木は存在しないと改めて実感します。豊かさというのは、今居る場の周囲とどれだけご縁や関係性を結び丁寧に暮らしていくかということに尽きるようにも思います。
昨夜は、友人たちが先方から訪れゆったりと夜を桜と共に穏やかに過ごしました。夕食のおもてなしでは、しだれ桜の隣にある柚子の老木からいただいた柚子胡椒で、またその桜の下にある梅の木からいただいた梅干しを食べました。他にも、きのこの汁にはお水もこの桜の場所の湧水、また桜の傍にある枯れた古木についたきくらげも入れました。みんなこの桜の周囲のものを一緒にいただくのです。
こんなに桜三昧で場所三昧の贅沢で豊かなことはありません。
私たちは自然のめぐりと一体になる時、いのちのめぐりを味わいます。このいのちのめぐりは、場所とのめぐり逢いです。私は有難いことに、この場所に出会い、この場所の徳を発見し、その徳が循環するように場を調えています。
現在は、桜の横に薬草園をつくりここで英彦山の薬草を育てます。その薬草を使って、薬膳をご用意したり薬草石風呂、この場所のお水の力を存分に発揮するような蒸気による治療などもやっていこうと思います。
これは別に私がどうこうではなく、この場所のいのちのめぐりをよくよく一緒に生きているうえでどうしていけばこの場所が喜ぶか、どう取り組むことが桜が仕合せかと一緒にめぐりを生きているからご縁とお導きがいただけるのです。
みんなで一緒に今を生き、場所の中に喜び合うことは幸福の極みです。
月明かりに照らされた桜は、神々しく言葉にならないほどの美しさです。自然に覚醒し、現代でも大切なことを忘れない場所が一つでも増えていきますようにといのりながらいのちの循環に謙虚に素直に向き合っていきたいと思います。
一期一会に感謝します。