理念の話をしていると、よく「自分には理念などない」や「理念がなくても経営はできる」という言葉をいただくことがあります。確かに、今まで考えることもなく、そんなに理念理念と声高に言わなくても大きくなってきた組織や、上手くいってきた会社ではそんなものはなくても問題がなかったという声もあります。
この理念という言葉は、あまり聞きなれないものであり最初は理念から考えて取り組むということをちゃんとやっているところも少ないと思います。確かに私も普通に仕事をはじめてからはそんなに理念のことを考えなくても、目の前に与えられたことを必死にやるだけで精一杯の時期を体験していたのを思い出します。
しかし、仕事を覚えていく中でいくつもの困難や壁にぶちあたります。その中でどうしても判断基準や拠り所が必要になり次第に理念のことを考えるようになってきます。そもそも何のためにやるのかや、本来これはどういうことなのかと、仕事が本物になればなるほどにそのことが必要になってくるからです。
そして変化を迫られます、自分がそのままではどうにもならないことに気づくのです。そして変化と向き合うとき、同時に理念というものに向き合うことになります。なぜなら変化とは、守るべきものがあることに気づくときに発生するものだからです。
これは変えてはならないというものは、言い換えるのなら「これは守られなければならない」というものです。それを信条ともいい、信念ともいい、その目的そのものだったりします。それがなくなれば元も子もない状態になるのはすぐにわかります。そしてそれを守ろうとすると変わることを恐れなくなっていきます。
つまりは変わる人というのは、守るものがあるからこそ自分が変わらなければならないという状況になるということです。そしてその守るものこそが理念であり、理念経営とはつまりは守るためにみんなで変わっていこうとする仕組みのことです。
これをもしも逆にすればどうなるか、変化を恐れ自分を守ることを最優先して大事な守るものは守らないとなると滅びてしまうのは自明の理です。だからこそ「自分は一体何を守っているのか」という言葉を常に自分に問いかけ、本当に守りたいもののために変化を恐れずに取り組んでいくことが「守る=変わる」ということになります。
大切に守るものがあるからこそ人は変われます。
その守るものをみんなで守ろうとすること、それが理念を実践するということです。時代が変わっても環境が変わっても、結局は人は生き方と生き様です。人を守れる強さとは生き方を守れる強さのことです。
引き続き子どもたちの今を見守るためにも理念経営の実践からの気づきを子どものいる周囲へと伝道していきたいと思います。
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人には、「譲れるものと譲れないもの」があります。しかし、「生き方」と「働き方」が違うと、生活では譲らないが、仕事では妥協してしまうということが起き、これでは、ほんとうの自分を生きられません。しかし、「譲らない」ためには、相当の知恵と努力、そして勇気が必要です。「理念」には、その覚悟が問われているのでしょう。
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理念を守っていくために生まれた様々な実践は、その時々にその意味を振り返らせてくれます。先生方が新たに始める実践も一緒に取り組むからこそ、共感できたり一緒に守っていくことができます。もし、仕事だけなら時間通りきちんと終わっていればそれでいいのかもしれませんが、理念実践には終わりがないことも感じます。何のための実践かを振り返り、実践を積んでいきたいと思います。
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理念が無ければ、また、理念に立ち返る文化が無ければ働く人々それぞれの価値観や性格が会う人々とばかり対話したり協力したりと派閥のようなものが出来やすかったと感じます。個人の価値観よりも優先して振り返れる理念があることは、チーム保育を行う上で最も重要だと感じます。感情を超えた軸にいつも助けていただけるように、心素直にありたいと思います。
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以前は理念という言葉自体に馴染みが無く、企業の中では誰が決めたのかもわからないお題目のような言葉だと思っていました。しかし、組織がどうかではなく結局は自分自身がそれを観ようとしていたのかと省みれば思えます。何のためと常に問いを持つ生き方を、環境や仕組みのチカラを借りて高めていきたいと思います。