先日、埼玉県にある日本国登録有形文化財会席料理の二木屋にお伺いするご縁がありました。これは郷里の古民家再生の中でひな祭りの行事を実施している方からの紹介でした。
ここはHPに「懐かしい味、本物の味、日本の代表食材・和牛、家に伝わる味・・・お茶時の料理である”懐石”はあえて名のらず、楽しく集まって食べる”会席”を選んで、伝えるべき日本の味を模索してまいりました。そして十年。この節目に私のするべき日本料理の仕事をまとめ直しました。”過去という未来”に向かって走っていく二木屋の”温故知新”です。」と書かれています。
訪問してみると、遊び心満載な室礼が空間の美を活かして配置されていて私たちを魅了します。座席に着くまでの道のりが近いはずが遠く、どうしても何度も振り返ったりするほど好奇心がワクワクします。
私もおもてなしの定義を遊び心だと思っていますから、共感するところが多く本当に学ぶことがたくさんありました。
料理が出てからは、明治の曽祖母のレシピを再現したものが出てきたり、かつて先祖であった方が発明したもみ殻を使った竈のご飯が出てきたり、歴史や御恩を感じました。特に盛り付けやお皿、すべての空間が「装飾」されており「飾る」ということの素晴らしさを改めて再認識することができました。
人生というものも同じく如何に日々を「飾る」かというのはとても大切な心掛けです。お祝い事やハレの日には、それまで何もなかったシンプルなものにその悦びや感謝を飾るのです。私にとっての飾りとは何か、それは真心の尊重です。
人生は出会いに満ちています。その一つ一つはかけがえのない一期一会の出会いです。どんなものとも、どんな人とも、どんな時とも、どんな場ともすべてに出会いがあります。それを真心のままに感じるのは好奇心がいつも活き活きとそこに息づいているからです。そういう出会いの哲学を持つ人には、この年中行事が素晴らしい躍動をもって演出されるように思います。私の座右、一期一会にこの「飾る」遊び心は常に表裏一体です。
最後に二木屋ご主人の「日本の室礼 二木屋の作法」に記されている言葉で締めくくります。
「演し物は季節と年中行事です。
部屋が舞台です。
室礼は大道具です。
器は衣装です。
料理は演目です。
演出家はあなたです。
今月はどんな気分で部屋を飾り、料理をつくろうか。
あなたらしさで、
暮らしをしつらえて下さい。
家とは劇場です。
お客さまがいらして、
家族が楽しむ劇場です。」
暮らしの室礼を楽しみ味わい、深めてみたいと思います。聴福庵にて出会う一期一会の人たちを最幸の遊び心で迎えてみたいと思います。
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二木屋さんのHPにある360°パノラマやフェイスブックを拝見すると、室礼の様子が載っていました。「今月はどんな気分で部屋を飾り、料理をつくろうか。」この一文から、物を置いているのではなく飾る楽しさを感じてか、飾られているものが笑っているように思えました。自分自身がいのちを吹き込むようなその振る舞い、遊び心を持ってお迎えする姿勢、その真心を大事にしていきたいと思います。
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二木屋の「室礼」を拝見して、「室礼」のイメージが一変しました。「節分」や「七夕」といった日本の伝統行事だけでなく、「ハロウィン」や「クリスマス」まで設えする自由さと、そのスケールの大きさに、見た瞬間、飾り手の「遊び心」がそのまま伝わってきて、緊張感を解き、ほっとさせてくれる「おもてなしの心」を感じました。その「室礼」を眺めながらいただく料理は、確かに、日本の伝統的な秋の風景と味わいでした。これまで経験したことのない「おもてなし」に「温故知新」「復古創新」の一面を見せていただいたようです。
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二木屋のご主人のお言葉からは「なんのため」の室礼なのかがとてもよく伝わってきます。ハロウィンがしつらえてある写真には驚きを感じましたが、そもそも何のためが定まっているからこそ、それが見事に調和することを思うと、目に見える形が室礼ではないということを何となく実感が出来ます。形にとらわれず何のためから物事を観ていきたいと思います。
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「あなたらしさで暮らしをしつらえてください」という言葉にとても不思議な気分になりました。毎月毎月の暮らしをどのような飾りと食事でそこで過ごす人たちに過ごしてもらおうかと考えること。これは園さんに訪問する時にも同じ心の姿勢を持っていきたいと感じます。普段の暮らしにそういった「遊び心」を持っていくのは、決して自分の為ではなく、そこで過ごす方々の為なのだという事。大切にしていきたいと思います。