古いもの、いにしえのものに触れていると心が懐かしく感じるものです。フランス語でノスタルジーといういい方もしますが、これは「故郷や過ぎ去った時代を懐かしむ気持ち」という意味です。 日本語では「望郷(ぼうきょう)」や「郷愁(きょうしゅう)」といいます。
この時代を懐かしむというのは、歴史を感じる心です。
私たちははじまりの親祖から今にいたるまで、長い年月の歴史を生き継いで受け継いでここまで来ました。長い年月、どのように暮らしてきたか、また古代からの仕合せ、自然と親しみ平和な日々を歩んだことをいつまでも心に覚えているものです。
幼少期の記憶は、人類の初心のころの記憶であり純粋無垢に生きてきたころのことを懐かしく感じるように私は思います。
今の時代は、IT化も落ち着いてきてそろそろAI化といって人工知能との共存が急速に発展していく時代です。もう10年もすれば、世の中はほとんどAIによって塗り替えられてしまっているでしょう。どんどん古いものが失われ、新しいものばかりが出てくる世の中ですが私たちの心や魂が時代に追いついていくにはもう少し時間が必要のように思います。
私たちが懐かしいと感じるとき、私たちは時を旅します。
古民家甦生を通して、様々な時代のものに触れていますがその道具を一つ一つ手入れをして磨いていると時が甦ってきます。そのものの持つ時代が懐かしく感じられるとき、わたしたちは時の旅人になっているのです。
歴史は知識で学ぶものではありません、歴史は時を旅して学ぶものです。その旅を共にすることにより、懐かしさを感じるとき人は魂が揺さぶられます。そして魂が故郷に帰るのです。
時代の過渡期、この潮目がまた変化する節目だからこそ改めて子どもたちのために何を譲り遺していけばいいのかを思います。引き続き、初心を守り初志を貫徹していきたいと思います。
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懐かしい人やもの、あるいは歌などによって、小さい頃や若い頃の昔に一瞬で返ることがありますが、道具には、もっと昔にタイムトラベルをする感じがあります。それは、その道具ものに、「人の一生を超えた歴史」というものが刻み込まれているからでしょう。何となく落ち着き、心が安らぐ感覚を入口に時を遡って、ほんとうの歴史を学びたいと思います。
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慣れ親しんだものには愛着や思い出があり、最新技術をも超えるものがあるように思います。そして、自分よりも遥か前からある道具にも触れることで親しみを覚えたり、感慨深く感じるのは過去の使い手の想いを感じているからなのかもしれません。技術が進歩する一方で自分自身は日々成長しているか、と振り返り歴史の最先端にいるからこそ、過去から現在につながるこのつながりを大事にしていきたいと思います。
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生まれた年のストーブを今も生活で使っています。炎に懐かしさや温かさを感じる中で、そこに時の旅人という言葉が凄く心に響きました。炎にも時が刻まれ、同じ炎ではなくなることを思うと、歴史と共に暮らす豊かさを感じます。自分の暮らしを何と暮らすか。新しいものも良いですが、歴史を感じられる暮らしを大切にしていきたいです。
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ある先生に「心に残っている夏祭りの思い出」を聴いてみたところ、自分は経験がないけれど身の周りに子どもの頃からお囃子をやっている人がいて、そういう人は地域との繋がりを持っていたり何かしら明るかったり元気があったり…いいなって思いますと仰っていました。具体的な情景ではなく、そこに受け継がれてきた「繋がり明るさ元気」のようなものに懐かしさを感じるというのは自分自身もあるように思います。「懐かしい」という美しい日本語を味わっていけるようになりたいと思います。