人間はその時々において学び方というものがあるように思います。例えば、様々な知識を詰め込んでいろいろな人に会って智慧を獲得していくという学び方があります。そしてその学んだ智慧を今度は、後に続く人たちやこれから学ぼうとする人たちが獲得できるように伝承していくような学び方もあります。
学び方というのは、つまりは道ともいいますが古来より受け継がれていくものであり知識や智慧というものは伝承されて次世代へと紡がれていくものです。
それを伝統文化ともいいます。
この伝統文化は辞書には「世代を超えて受け継がれた精神性」「人間の行動様式や思考、 慣習などの歴史的存在意義」と書かれています。
学び方というのは、生き方ですからその人の生き方が伝統として世代を超えて受け継がれていきます。
何を遺していくか、何を次世代へと譲っていくかと考えるときに、私はこの伝統文化の価値の偉大さを感じます。
会社や組織は、もって100年とも言われます。日本では300年以上続く老舗が400社以上あるともいいます。形あるものはいつかは必ず滅びますが、日本ではそういう伝統の精神が引き継がれて今にまで続くものが多いといいます。そこには道があり、その職種職業にも生き方があったからに他なりません。
例えば親祖の伊弉諾や伊弉冉をはじめその後に和を理念とした聖徳太子、国風文化の礎となった菅原道真などの生き方は、世代を超えて今でも私たちの暮らしや思想に影響を与えています。名前をいちいち思い出さなくても自然に自分たちの血肉となり精神となりいつまでも私たちの生活を見守り続けてくださっているようにも思います。
この伝統文化の偉大さというのは、生き方が継承されていくということです。
自分の生き方を遺すという偉業は、遠くの先まで観通し長い目で観て今何をすべきかということを問い、先人からの智慧を次世代へと揺るぎなく紡いでいくための徳行でもあります。
自分の身の心配よりも、世代を超えて子孫たちのことを慮る心はすべて思いやりから発心しているものです。
こういう志事に関われることは人生の一大事であり、何のために生まれてきたのかという答えを生きていくという生き様です。
引き続き生き様を優先し、その生き方を貫く人たちを支え、自らのその学び方生き方を高め続けて精進していきたいと思います。
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老舗企業にある家訓。ここに守るための何かがあるように思います。自分の保身のためではなく、生き方を伝承していくために守り続けるものが見えていたからこそ、創業300年以上続く老舗が今でも多くあるのだと感じます。今の時代に生きる上で、先に生きる初先輩方の生き方は一つのモデルでもあります。同じものを見てもまだまだ深さは至りませんが、目指している方を見て精進していきたいと思います。
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「やり方」だけを遺して伝えていこうとしても、それは途中で変わっていくでしょう。やはり、その「やり方」の背景には、「考え方」があり、その考え方に沿った「生き方」があります。受け継ぐというのは、「生き続ける」ということですから、その「生き方」をこそ継がなければなりません。「やり方」だけだと、より安く、より早く、より楽にできる方に変わってしまいます。先人たちは「生き方」をどう伝えてきたか?!そこをしっかり学んでおきたいと思います。
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自分を見て、感謝を感じられているか、周りは幸せそうか、お役に立てているかと問いかけてみると、自分の磨き方が見えてくるように感じます。どんな生き方をしたいかは分かりますが、どんな生き方をしているかは、その時々の選択が生き方として見えてくるからこそ、振り返り、事実に向き合うことが大事なのだと感じます。今も未来も悪いものとせず、今日もまた感謝の1日として行きたいと思います。
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年中行事にしても家や暮らしというものにしても、表面的なものではなく深い部分に必ず人の生き方が繋がっていることを感じます。そしてそこには人が自然と育っていく仕組みがあったように思うと、伝承が途絶えるということは恐ろしいことでもあります。聴福庵を通していただいている機会の意味をしっかりと受けとっていきたいと思います。