妙見高菜を食べる虫にカブラハバチがいます。昨年はこの幼虫に若い幼苗期の高菜の葉をほとんどが食べられ、隙間だらけになりほぼ全滅しました。この「カブラハバチ」は、カブの葉を食べる虫ということで名づけられアブラナ科の野菜を食べる蜂の一種です。
この幼虫の体は、普通の青虫のような緑色ではなく黒色をしています。名前を「ナノクロムシ」といい、秋のモンシロチョウの幼虫などと同じ時期に発生することからガやチョウの仲間と考えられちですが実際には蜂です。
この幼虫は真っ黒で、少しでも葉を触るとすぐに地面に転がってどこにいったか分からなくなります。青虫はそのまま引っ付いているので手で取りやすいのですが、このナノクロムシは地面に転がったあとは丸くなってまったく動かないので気づきません。黒くて動かないものは目でみてもわからず探しても簡単には見つかりません。この方法がカブラハバチの天敵の攻撃から身を守る仕組みだともいいます。
発生時期は4月から6月と、10月~11月です。これはアブラナ科が枯れる時期と新芽から苗の時期です。そう考えてみると、どの自然の生き物も子どもの頃と老いたころに天敵が現れ自然に戻そうとします。この時期にどう見守り、その作物をしっかりと育てるか、まさに生き物が自立して最期のまでその生を全うするのは自然界はみな大変なことです。
現在では、ほとんどが農薬や肥料を用いるかあるいは進歩した科学の道具を用いて対策を立てられますが自然農で野性の中で強く逞しく健康に育てようとしている私の農法は信じるしかありません。自然農でやっていくと当たり前に野性の中で育つというのは、如何に有難いことであるか、そしてこれは偉大なことであるのかを実感します。
信じる農法は、そのものが如何に健康に育つかをよくみて手を貸していくしかありません。うまくいかないのは私の手の貸方、つまり見守り方がよくないから育ちません。自分の中の刷り込みが取れず、まだまだ信じることができないこともありますがこの妙見高菜からは本当にたくさんのことを学び直しています。
話を戻せば蜂といえば、身近にはミツバチやスズメバチ、アシナガバチなどよく見かけていますが実際は野菜の周囲には食害される虫として農業をしている人たちには頭を悩ませる存在でもあります。野菜さえ育てていないときは、どの蜂を見ても益虫や害虫の区別なく見ていましたが、育て始めると自分を中心に益と害の違いが出ますから人間は自分勝手なものです。本来、どの虫も必要な存在なのですが人間の都合で仕分けられ益虫は増やし害虫は駆除するなどとやっていたら自然のバランスも崩れてしまいます。
人間を中心に益とか害とか分別する前に、如何にみんなが調和して尊重し合っていけるような畑にしていくか。それが私が目指している理想の畑であり、田んぼです。自然観察力を磨き、今年も自然から学び直していきたいと思います。
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「自分にとって都合のいいものが益虫で、都合の悪いものが害虫という分け方」には、本当に注意が必要です。「畑では蝶が害虫に見える」のには、自分で驚きました。この、自分たちに都合の悪いものは徹底的に排除しようとする発想は、一見「正当」なようで、実は形を変えた「私利私欲」です。「都合が悪いもの」との付き合い方を学び直さなければなりません。
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普段の人間にしか会わない生活も本来、異質なものなのかも知れません。小蝿一匹でも飛ぼうものなら、それすら鬱陶しく感じます。自分が全てと思わず、相手だったらと考え見方を変えていきたいと思います。
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信じることが大前提にあるからこそ、「育たないのは私の手の貸方、つまり見守り方が良くないから育ちません。」という矢印を自分に向けられるのだと感じました。信じると決めない限り、矢印が外に婿のだと思うと、結局は自分の価値観次第だと感じました。改めて、見守るということの要諦には信じられることだけ信じるのではなく、大前提として信じるという覚悟が大切なのだと感じました。自分の眼差しを見つめていきたいと思います。
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自然農の畑はまるでリアルな実験室のようでもあり、実験、観察、失敗、改善を繰り返しながら学びを深められる実践場なのだと感じられます。何を目的にしているか、それによって体験の質もまた大きく変わることを思うと、何事も活かせるよう生き方と働き方の一致を高めていきたいと思います。