今回、久しぶりに中国に訪問してもっとも印象に残ったのは中国の人たちの新しいものを理解し吸収するスピードです。昨日参加した世界園長会議でも、世界30か国、100人以上の各国の専門家、そして3500人の投資家や経営者、教育者、専門家が参加し出店ブースには世界各国の教材や玩具、環境用品などが展示されそれぞれに盛況に商談が進んでいました。
研修会のテーマも、ITやAIに関すること、設計のことや特色ある保育、環境などのどれも最先端の情報やその国で最も人気がある園や学校、ノウハウの開示などが講演の演題になっていました。そこで参加者たちは熱心に話を聞いて写真を撮り、講演終了後は名刺交換などをして自分たちの園の運営の関係づくりに努めていました。
新しいものを学ぼう、自分たちの知らない最先端の仕組みを真似しようと誰もが躍起になっていました。そこまるで「必ずこのチャンスを掴もう!」という人々の強い情熱と熱気に包まれていました。
また街中に出れば、車は世界各国の高級車が走り、タクシーの予約や決済などはすべてスマートフォン、市内の主要な観光地の店舗は品物の注文も決済も伝票も携帯電話で行われます。
もちろん日本でもそんなのは当たり前だという声もありますが、そこまで進化するプロセスの速度に驚くのです。本来は、紙で行われていたものがカードになり、機械認証になり、そして携帯へとなりますがいきなり紙からスマートフォンになってAIなどが取り入れられているという具合です。
極端な言い方だと、無人島で今まで生活していた住民がある日突然、文明の最先端の道具を使う住民になったという感じです。この文明の吸収の進化は、失敗を恐れずに何でも挑戦し受け容れていく中国ならではの柔軟性を感じます。そして時代の熱気を以前よりまして感じたのです。
ある意味、この国は何をするにもいい加減な国ですがその「いい加減」がこの時代の変化の際には「プラス」に働きどんな状態になっても前向きに柔軟に対応するという性質でこの文明の取り入れ方に観らるのです。
私は日本の明治時代の文明開化の時はまだ生まれていませんでしたから、その時代にどのように西洋の文明を取り入れたのだろうかと空想することはありました。しかし今回、中国に訪問し20年前に最初に訪問したころと比べてみてのこの文明の発展ぶりをみていたらきっと明治時代の文明開化も同じようなものだったのではないかとも思うのです。
しかし今の日本はその明治の頃の文明の取り入れ方が今の時代に禍根を残したものが多数ありますが同時にその御蔭で今の日本の発展もまたあります。長い目で見た時に一体何をどう温故知新していけばいいか、その文明と文化のバランスを今回の訪中で少し垣間見えた気がしました。
伝統というものは変わらなくても、その伝統の用い方や見せ方は時代と共に変化していきます。帰国したら早速、その辺をいろいろと手懸けてみて文化と文明のバランスを楽しみながらブラッシュアップしていきたいと思います。
今回も隣国中国からたくさんのことを教えていただきました。未来の子どもたちのためにカタチにして学んだことを還元していきたいと思います。
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「必ずこのチャンスを掴もう!」から浮かんだ言葉が「千載一遇」です。そして、その語源を調べてみると『文選・袁宏・三国名臣序賛』とあり、その精神性は今も根付いていることを感じます。変化の早い中で新しいものを取り入れる柔軟性や譲れないものに対しての心の強さなど見習うところも多く感じます。今回のセミナーでも新たな試みが始まっていますが、今の時代に適したものを活かしてことを大事にしていきたいと思います。
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日本の明治維新も、「日本は遅れている!」という認識で、慌てて西洋文明を取り入れました。「そのお陰」もありますが、「そのせい」もあったりしてなかなか難しいものです。新しいものを取り入れることはいいことだと思いますが、「入れ換え」になっては問題です。「それと引き換えに大事なものを失わない」ように、「国の進化に繋がる」ように、文化と文明のバランスというものを見極めたいものです。