昨日、聴福庵の箱庭に杉苔を植栽していきました。一昨年度は、定着するかどうかのところで環境が合わずに枯れてしまいました。昨年の失敗を活かして、杉苔が定着しやすい環境を整えて再挑戦しています。
この杉苔(スギゴケ)はコケ植物の一種でコスギゴケ、ウマスギゴケ、オオスギゴケなど約400種類以上の品種があります。その中のスギゴケは一つの品種の名称ではなく、スギゴケ科全てを総称した呼び名です。この杉苔は一つ一つが小さな杉の木のような形をしていて「杉の木のような苔」=「杉苔」と呼称されるようになったのが由来だそうです。
この杉苔ですが、見た目の美しさは特に際立っているのですが場所によっては育てにくいことが特徴でもあります。金閣寺、銀閣寺でも3~4年でスギコケを張り替えているともいいます。
先日、屋根に植栽したスナゴケの方は育てやすくあまり水もいりません。しかしこの杉苔は毎日のように水やりをし、安定するまでお世話をします。ちょうど3週間ほどここにいる今回の機会が有難く高菜も含めて丁寧に対応できます。
実際には東京と福岡の往復で、暮らしを工夫していますが仲間や家族の協力なしでは成り立ちません。寄り添う心を持ちながら具体的な技術を習得するというのは、真心のままで生きて実践を怠らず努めていくということです。
日々の丹精というものは、この植物や野菜、いのちある生き物たちにはすぐに見透かされるものです。それを確認しながら、自分の心技体を鍛錬していくのが私の修行であり魂を磨く生き方の根本です。
人生というものは、お金のためだけに浪費するのではなく如何に徳を積み魂を磨くかに仕合せや福があります。この枯山水の庭を清浄に澄ましていけば、人々の心もまた澄まされそしてここだくのツミ穢れも払われていくと信じてさらなる清浄を見つめていきたいと思います。
苔は悠久の象徴です。
苔の環境を整えながら、悠久を見つめ、子どもたちに譲り渡したい未来を伝承していきたいと思います。
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先日、松陰神社を参拝した際にお墓の一角が一面苔で覆われていましたが、緑色の絨毯のようであり、周りの雰囲気とは一変する美しさがありました。苔と一言で言っても様々な種類があることも、日常の中では知りえませんが、折り重なった美しさはある、お互いを活かし合う目指す働き方であることも感じます。心を落ち着かせ、自然に溶け込む場がまた一つ増え、子どもたちに伝承していけることが増えることは、大事な役割であるのだと感じます。ひとつでも多く伝えていけるよう、形として残していきたいと思います。
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先日、奥入瀬渓流に自生する苔をテレビで見ましたが、苔が創り出す世界は、まさに悠久の流れを感じさせてくれます。空が創り出す広がりや木々や草花が創り出す華やかさもありますが、地面が創り出す緑の世界の深さはまた格別です。そんな精妙な世界を常に心の中にも持っておきたいものです。
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苔を愛でるというのは、いかにも日本人らしい感性のように思います。国歌の中にも「苔のむすまで」という言葉がありますが、今の私たちではそのものがあらわす時の永さの感覚はわかりづらいものになってしまっているのかもしれません。昔の人たちのように自然から五感を研ぎ澄ませていきたいと思います。