稽古の伝承

昨日は、朝倉市にある秋月中学校を見学する機会がありました。ここ秋月は、稽古館という秋月藩の藩校があり大いに学問が繁栄した場所でもあります。学問が繁栄するところ、そこには志があることがわかります。

場所に立つと、志を立て紡いできた方々の歴史を感じます。この「場」の力というものは決して知識で理解できるものではなく、感じて直観するものです。それは時に刻まれた重みのように確かに存在するのです。

そもそもこの秋月藩の由来はデジタル大辞林によればこうあります。

「江戸時代、筑前(ちくぜん)国夜須(やす)郡秋月(現、福岡県朝倉市秋月)に藩庁をおいた外様(とざま)藩。福岡藩の支藩。藩校は稽古館(けいこかん)。福岡藩初代藩主の黒田長政(ながまさ)の遺言により、1623年(元和(げんな)9)、その3男の長興(ながおき)が5万石を分与されて秋月藩が成立した。筑前国のうち夜須郡、下座(げざ)郡、嘉麻(かま)郡の55ヵ村を領有。長興は1624年(寛永(かんえい)1)当地に入り、兄忠之(ただゆき)の本藩によって江戸参府を妨害されたものの、翌年ひそかに江戸に上って3代将軍徳川家光(とくがわいえみつ)に謁見(えっけん)、朱印状を与えられた。以降明治維新まで12代続いた。1775年(安永4)に藩校の稽古亭(のち稽古館)を開設。1785年(天明(てんめい)5)から本藩に代わって長崎警衛に当たり、幕末には佐幕派の立場をとった。特産品は元結(もとゆい)、紙、葛粉(くずこ)、木蝋(もくろう)、陶器など。1871年(明治4)の廃藩置県で秋月県となり、1876年(明治9)福岡県に編入された。」

そしてこの「稽古」という字の由来はこうwikipediaには紹介されます。

「『書経』尚書/堯典[1]等中国古典籍にあることばである。 日本では『古事記』太安万侶序文末に「稽古」がありその意味は、古(いにしへ)を稽(かむがへ)ることである。同文の「照今」(今に照らす)とあわせ、「稽古照今」という熟語としても使用される。 日本武術などの形練習においては過去の達人であった先人の遣った理想的な形に近づべく修練することである。武道、芸能に限らず、親方や師匠が教えることを、稽古をつけるという。また、単に学んだことを練習することも稽古という。お稽古ごとというと、伝統芸能に限らずピアノ教室なども含まれる。どれにおいても、稽古を積み研鑚を重ねることによって実力をつけていく。 リハーサルは、通し稽古の意味でも使われるが、こちらは芸道に限らず稽古とは言わない場合にも使われる。『風姿花伝』には、「稽古は7歳ぐらいから始めるのがよい」といった旨の記述があり、後世、稽古始めを6月6日とするようになり、江戸時代の歌舞伎において、「6歳6月6日」というセリフが頻繁に用いられ、伝統芸能では稽古始めを6月6日とするようになった。」

 この「稽古」という字は、まさに古典を学び直すことによります。
いにしえに生き方を学び、いにしえの人物からその人間学を修養するということでしょう。学校というものを何のために建てるのか、学校は何のためにあるのかという原点を継承していくことは、この先の未来を生きる子どもたちにはとても大切なことです。
私たちは知識が増えましたが、いにしえの人々は何を「教え」として何を学問の本義にしてきたか。時代が変わっても変えていいものと変えてはいけないものがあります。それを正しく理解した人たちが、本物の伝統を継承していけるように思います
たくさんの示唆をいただいた秋月は、まだまだこれから深めてみようと思います。
  1. コメント

    『致知』の記事の中に、恥ずかしい想いをきてこそ稽古が深まるというような一文がありました。未熟であればあるほど、表に立って上手く出来ないことなど、自分自身もまた経験のあることです。そして、稽古照今という言葉をはじめて知りましたが、美しい言葉だと感じました。表舞台は華やかで美しく見える裏では、弛まぬ努力が今からという時を照らしている情景は、ありたい姿の一つでもあります。

  2. コメント

    昔の「藩校」や「私塾」には、「稽古」と「鍛錬」の仕組みがありました。しかも、この仕組みが、日本全国にあったことが、日本人としての生き方、あり方を学び続ける基盤となったのでしょう。改めて、日本の豊かさの原点を知ると同時に、変わりつつある教育のあり方が危惧されます。「学校」という仕組みを見直したいものです。

  3. コメント

    武道においても形はどこまでも探求することが出来る仕組みのように感じています。書物と同じようにその時々に新たな発見があり、こういう事だったのかと動きの中で自覚する瞬間があり、その気付きが成長へと繋がっている感覚です。先人たちが何を伝え遺そうとしていたのか、その想いや願いを感じていきたいと思います。

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