役割を果たす

ITを使った仕事には、上流工程と下流工程というものがあります。上流工程というものは、SEと呼ばれるシステムエンジニアが行いますがこれは高度な技術だけではなく、要件定義から設計、コミュニケーション、そして大きな責任やプレッシャーがかかります。

そして下流工程というものは、そのSEの指示に合わせて作業を正確にスケジュールに合わせて取り組んでいく人たちです。これはITだけに限らず、家を建てるとすぐにわかりますが棟梁がいて、大工さんや左官さんがいて、今では業種がさらに細分化し、建築士やコンサルタント、ディレクターなど多くの職業が参加します。

しかしよく見ればすぐにわかりますが誰が上流工程で誰が下流工程をやっているのかがわかります。仕事はすべて協力しなければ成り立たないのは前提ですが、やっている仕事の種類と責任が異なってくるのです。

例えば、大工さんであれば日給や時給で働きます。朝8時からきっちり6時に終わります。この短い時間に如何に効率よく質の高い仕事をするかに集中していきます。その作業を取り仕切る棟梁はほとんど作業はしません。その分、その作業する人に的確な指示を与え、その指示通りにできているかを把握し管理して手助けをします。棟梁の給与は時給ではありません、なぜなら作業をする時間も効率も求められず求められているのは、幅広い知識や経験、そして家主や職人たちとのコミュニケーションが必要になります。つまりは作業を理解できるのは当然のことながら、その作業を超えて大切な役割を果たしているからです。

この仕事はとても難しく、作業する人たちの気持ちをまとめあげたり、協力者を探してきたり、ケガや病気を未然に防いだり、本質を維持したり、理念からブレないようにしたり、あらゆる全体のことに尽力していきます。それを時給で計算することができず、まさに四六時中神経を使い、常に学び続けて成長しなければ時代の変化やニーズに対応していくことができないからです。

しかしだからといって今の時代は、スペシャリストの一名だけですべて完璧に対応していくことはできません。多様化した世の中では、あらゆる意見を吸収しチームで働くことを目指す必要があるからです。

このチームとは、役割は分かれていてもみんなで自主協働して一つのことに取り組んでいくということです。その中には、上流工程の仕事もあれば、下流工程の仕事もあります。しかし、上流と下流が手を取り合って、みんなで智慧を出し合ってチームで働いていく。もちろん、給与も時間も立場も異なりますがお互いの仕事を尊重して助け合っていくことでチームはさらにより良いものへ発展していきます。

チームの成長こそが、仕事の質を高め、仕事の成功を実現するのです。

個人主義が蔓延し、権利ばかりを主張する人も増えていますが本来は個人だけで生きていける世の中などはありません。多くの人たちのお陰様で活かされて生きていくことができるからこそ自分も社会のチームの一員として、まずは所属する組織のチームにどれだけ貢献しているか、そしてそのチームがどれだけ社会に貢献しているかに自主協力し協働していくことが役割を生きるということです。

人間としての成長とは、この役割意識を磨いてご迷惑をおかけしていることを自覚しご迷惑をおかけしないような人になっていこうと人格を高めていくことかもしれません。

社會や会社、チームの中での自分の本当の役割とは何か、突き詰めていく人こそが大切な役割を確実に果たす人になるのでしょう。自分とは何か、何が期待されているのか、役割意識を正しく持つことがその人物の成長を決めていきます。

役割の真実をこどもたちに伝えていきたいと思います。

 

  1. コメント

    「すべてのものは二度つくられる」という法則があります。一度目は、「発案・設計」であり、二度目が「現場完成」です。これは、視点を変えると「思いをカタチにする技術」でもありますが、この力を真に発揮するには、「協力」が必要であり、それが「チーム」に求められます。いろんな役割があって成り立っていることを再確認すると同時に、自分の役割意識を磨いていきたいと思います。

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