最近、建築の現場に関わることになり現場監督の大切さに気付く機会がありました。この現場監督とは辞書によれば、「建築や土木工事などの現場で、作業を指揮・監督すること。」をいいます。具体的には、工程管理や安全管理、品質管理になりますがそれ以外にも仕入れ管理、見積もり管理、クレーム対応、障害発生時の判断、そしてオーナーさんから設計士、業者の皆様とのコミュニケーションなど多種多様です。
この現場監督というのは、全体を把握して調整していく力が必要です。まさに、この現場がわかるということはすべての工程を掌握しているということです。
そもそも監督というのは、語源は保護者のことを言うといいます。つまり全体を見守っている人物であるということです。ただ指揮を出すのではなく、如何に細部まで見守っているかが問われます。
働く人たちは建築現場ではたくさんの人たちが訪れます。その一人一人によく目を配り、心を寄せながら、目的がブレないように、そして危険はないか、体調はどうかなども確認します。
それぞれ職員さんたちはプロですから、危険なことはしないようにし、体調管理もしっかりしていますが、それでも集中しすぎて入り込むことがあったりします。その際に安全を確認したり、無理をしないようにフォローしたり、現場では監督の役割が大きな影響を与えているのです。むかしはこれを大工棟梁が行いました。最後の宮大工で有名な西岡常一さんはこうも言います。
「棟梁というものは何かいいましたら、「棟梁は木の癖を見抜いて、それを適材適所に使う」ことやね。建築は大勢の人間が寄らんとできんわな。そのためにも「木を組むには人の心を組め」というのが、まず棟梁の役割ですな。職人が50人おったら50人が私と同じ気持ちになってもらわんと建物はできません。」
これは会社の経営でもスポーツの監督でも同じです。
それぞれが主体的に働いていく上で、大切なのは全体を見守ることです。その全体を見守るためには、よく現場を観ている必要があります。そのうえで、適切な対応をしていく必要があります。
まさにこれは私たちが本業で取り組んでいる保育と同じです。それぞれのはたらきを観つつ、本人たちが安心して仕合せに自分の働きが全体の役に立てるように、社會を見守っていきます。
どの仕事も、現場には人々の働く全体の意思が顕れます。
その現場を監督できることは仕合せなことです。そして現場が楽しくなるように取り組んでいくこともまた現場監督の喜びです。現場監督を学ぶことは、その現場の場数を経ることです。そして現場監督こそ保育の質です。
引き続き、分けずに子ども第一義を学び直しを味わいたいと思います。
コメント
「現場監督」というのは、すべての職人さんを信じて見守る人でしょう。しかし、うまくいかない現場では、それが、「監視」になったり「見張り」になると言われます。一人ひとりの職人さんは、それぞれの道の「プロ」であり、腕と同時にプライドもありますから、それをまとめるのは想像を絶する仕事です。「現場」の厳しさと重要性を改めて感じます。