スモークサウナを深める中で、燻製のことを書きましたが同時にそもそも煙とは何かということを考えてみる必要があります。私たちは煙というものを見ても、それが一体何の煙であるのか、煙はどうなるのかを考えることが少ないようにも思います。
身近では焚火で出る煙、たばこなどの煙、車の排気の煙、火事の煙、工場の煙、他にもお灸の煙、お香の煙、蚊取り線香の煙など煙にも色々とあります。その煙は、見た目は同じに見えても実際に排出されているものはまったく成分が異なります。
煙は一般的には不完全燃焼によって発生した固体や液体の微粒子を含んだ空気のことを言います。煙は気体だけではなくそこには煤をはじめ個体や時には液体も混じります。あまりに微粒子過ぎて目には観えませんが煙になってそれが空気と合わさって広がっていきます。完全燃焼して煙が見えないときも、実際にはその微粒子は空気に広がっています。
黒煙や、濁った煙がでるときそのものは不完全燃焼しています。この不完全燃焼とは空気中の酸素が足りずに炭素とうまく合体できない状態ことを言います。炭素は酸素と合体すれば二酸化炭素になりますが酸素不足になるから一酸化炭素になるのです。そしてこの一酸化炭素が有毒の気体になりこれが窒息死などの原因になります。
人間は酸素を吸い続けなければすぐに死んでしまう生きものですから酸素不足になればすぐに呼吸困難になるということです。
二酸化炭素はCO2で一酸化炭素はCOですから、酸素Oが足りていない状態が一酸化炭素ですからその酸素を求めている状態が不完全燃焼を示すのです。
むかしの家は隙間だらけでしたから囲炉裏や竈があっても一酸化炭素中毒になることはありませんでした。しかし今の家は、気密性が高くほとんど魔法瓶ですから窓を閉め切った状態で火を熾せばすぐに一酸化炭素中毒になってしまいます。
そして煙には無色透明なもの、白いもの、黒いものがあります。完全燃焼すれば無色透明ですがそれでも煙は出ていることになります。そして白いものは湯気のように水分です。黒いものについては炭素の微粒子です。つまり湯気が液体で炭素は個体なのです。スモークサウナでいえば煙は炭素で、蒸気は水分ということです。
煙の中の炭素の中には、カルボニル化合物やフェノール、有機酸などあらゆるものが含まれます。その成分が防腐効果や殺菌効果なども発揮します。つまり有毒のものであっても使い方次第では、燻製にするための材料にもしたのです。
万物には、善悪があるように一長一短がありますし使い道次第では効能もあれば害毒もあります。
むかしの人々はそれをよく観察し、上手く暮らしに活かしたところに深い智慧があるように思います。引き続き子どもたちのためにも、残したいもの譲りたいものをうまく建築や仕事に取り入れて伝承していきたいと思います。
コメント
正直なところ、「煙」にあまりいいイメージはありません。昔の「のろし」や「燻製品」などの利用の仕方もありますが、有害というイメージが強いからでしょうか。ただ、「一つの事件」によって「だからダメ」という発想ではなく、同時に「特有の使い途がある」という見方は忘れないようにしたいものです。基本は、「使う人の意識」を高め、上手く生かすということかもしれません。