モザイク社会

カナダのバンクーバーに来ていますが、改めてこの国の姿について観察してみると面白いことがわかります。もともとこのカナダは人口約3,724万人(2018年の“国民一人あたりの国土が最も広い国”として有名です。気候もカナダ北部は寒さが厳しいツンドラ気候で北極圏に位置するため、人口の75%はオタワ、トロント、バンクーバーなど比較的温暖な地域にいます。有名な観光地はロッキー山脈やナイアガラの滝など雄大な自然があり、今も世界中から多くの観光客が訪れています。

先住民にあわせてイギリス・フランスの植民地化ののち、カナダとして独立してからも数多くの移民が訪れつづけています。
そのうちカナダ社会を構成する民族と文化は次第に多様化していき、1971年、カナダは世界で初めて「多文化主義政策(Multiculturalism)」を導入しています。

国家理念として「民族や人種の多様性を尊重し、すべての人が平等に社会参加できるような国づくり」を目指したのです。そして今では200を超える民族が生活しながら、毎年20万人以上の移民が入ってきています。特に最近では、中国への香港返還(1997年)をきっかけに、香港からカナダへと移住する中国系移民が増えていると言っていました。

そのカナダの公用語は英語とフランス語ですが、そのほかにもドイツ語、イタリア語、中国語など様々な言語が日常的に使われ新聞・雑誌などは40か国語以上で発行されています。

冷戦後の世界で民族間の対立に端を発する紛争が絶えない中、カナダは多様な民族が平和に共生し、一つの国家を形成する「モザイク社会」(mosaic society)という言い方で国家を形成しているのが特徴です。

これだけの広大な土地があってはじめてできるのではないかとも感じつつ、善いところ取りをしていますがどれくらい文化が尊重されあっているのか、今日はそれを現地で深めてみたいと思います。

  1. コメント

    相手の「言語」を尊重するというのは、その地域の「歴史」とともに「文化」を尊重するということですから、とても大事なことでしょう。ただ違う言語同士では会話は成り立ちません。「言葉」を使い分ける社会というのは、コミュニケーションは成り立っても、暮らしや文化という面ではなかなか難しく、「共生」の質も課題になるのではないでしょうか。

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