創始理念というものを甦生するのに、明治期に行われたものがあります。これは明治天皇が即位した際に御誓文の中で行われました。代々、日本という国の先人たちがどのような理念であったか、それに鑑み自ら初心を明確に示したのが御誓文です。
これがのちのち五箇条の御誓文と呼ばれますが、古今に通じる国家理念であることがわかります。聖徳太子の十七条の憲法も同様に、自ら初心の実践を明確に内外に打ち出したともいえるものです。
具体的にはこう書かれます。
① 廣ク會議ヲ興シ萬機公論ニ決スベシ
② 上下心ヲ一ニシテ盛ニ經綸ヲ行フべシ
③ 官武一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦マサラシメン事ヲ要ス
④ 舊來ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クべシ
⑤ 智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スべシ
これは新しくその時に産み出したものではありません。これはすでに神武天皇の時にはすでに存在していたものです。それをその時代の人々にわかるように解釈をされ、それを立て札にして全国各地に知らしめました。
つまり日本という国はこういう国ですから、共に難局をこれらの道理に従い乗り越えていこうと声がけしたとも言えます。そもそもの創始理念に基づいていたからこそ、この初心には力がありました。
長い年月で醸成されてきた、生き方であり、私たちの存在意義でもあり、国家形成の目的でもありました。この初心を考えた人は、日本人の徳性を見抜き、私たちがどのような状態のときに最大限ポテンシャルを発揮するかを知っていたのかもしれません。
今でもこれらの初心に照らして行動する組織やチームは、日本人らしい信頼関係で強い絆で難局を乗り越えていきます。私たちは大家族として、仲睦まじく認め合い許し合い語り合い行動するとき特別な力を発揮する民族だからでしょう。
最後に御誓文にはこう締めくくられていました。
「我国未曾有ノ改革ヲ為ントシ、朕躬ヲ以テ衆ニ先シ 天地神明ニ誓ヒ大ニ斯国是ヲ定メ万民保全ノ道ヲ立ントス 衆亦此旨趣ニ基キ共心努力セヨ」
時代は今も大変な分かれ目にいます。これからの日本の挑戦において新しい御誓文の必要性をひしひしと感じます。先人に照らして、深めてみようと思います。
コメント
「日本という国」は、在ったものでもなく、勝手に在るものでもありません。意図をもって創られたものであり、その目的ために存在しています。したがって、その理念(初心)に反していれば、そこにあっても、それは「日本」とは呼べません。歴史を見ると、過去、何度も自国を見失いそうになりましたが、その都度、「創始理念」に立ち戻ってきました。そして、今、もう一度立ち戻る時にきているようです。