BAの開校は2019年12月22日にしていますが、この日は「冬至」になります。この冬至は一年で最も昼の時間が短く夜の時間が長い『太陽の力が最も弱まる日』となっています。つまり一年の中で冬至を境に太陽の力が強まるということになっています。
太陽の復活祭ともいいますが、地上にいた私たちにとって日がまた長くなり明るくなるというのは特別なものだったように思います。特に日本人は、太陽を中心にした暮らしを営んできた民族です。
太陽をおひさまと呼び、こんにちさまと崇め奉り、祈りを捧げ続けてきました。日本古来の神様である天照大神もまた太陽の化身として心のよりどころにしてきました。明るく平和な世の中を太陽の存在を感じながら歩んでいくというのは、今もむかしも変わらずに私たちの心に安らぎを与えます。
また隣の中国では冬至の日を易経では「一陽来復」といって悪い気が去りすべてが上昇に転じる日としてお祝いしてきました。中世以降から中国文化と混じり合う中で日本でもこの日を一陽来復は死に一番近い日として無病息災を祈念しています。
もっとも暗い日こそ、明るさへの兆しがあるということ。
今度のBAは、黒の彩りを中心に家のデザインをディレクションしています。これは黒には多種多様な黒があることを示しましたが、同時に黒(暗闇)がもつ真の明るさやあたたかさを表現したかったこともあるのです。
私は、鞍馬寺で暗闇のぬくもりと同じものを炭のぬくもりで感じました。私は炭が大好きですが、炭の癒す力、浄化する力はこの世でもっとも高いものの一つだと感じています。その炭を感じてもらうためには、炭と同じぬくもりを暗闇で感じてもらう必要がありました。
そこで黒のものを中心に据えて、暗闇を演出することに力を入れたのです。また開校の日をもっとも暗い日にしたということにも意味があり、この日こそもっとも暗闇を深く味わえる日であるからです。
天の岩戸に天照がお隠れになったとき、私たちは絶望と同時に希望を持ちました。その希望はアメノウズメの神楽によって開かれたといいます。それは「笑い(和来)」によって導きました。
この和来こそ、温故知新の象徴であり新しい時代の幕開けへの兆しです。
今回の開校が、徳の世の中に復活をしていけるように私のできることで挑戦していきたいと思います。
コメント
「闇」とは「光のない状態」ですが、絵の具の色でいう「黒色」というのは、「すべての色が均等に混ざった状態」です。そう考えると、「黒」というのはもっとも豊かな色なのかもしれません。更には、その「混ざり方」で、様々な種類の「黒」が生まれます。この「黒」に光が当たると、何とも言えない深みのある美しさがあるのは、究極の豊かさを表しているのかもしれません。