妙を見る

明日は、いよいよ神社建立式典ですが八意思兼神と一緒に郷里の妙見神社の神様も御鎮座いただきます。私の郷里である飯塚市多田(旧庄内町)にある多田妙見神社は例年7月1日の未明に開催される飯塚山笠の「お汐井取り」の場所となっています。

この場所は古代からの交通の要衝でもあった烏尾峠や日王山への道にも通じる多田山の裾野、妙見谷に鎮座することから、通称「多田の妙見さん」と呼ばれています。私も幼いときからこの境内でよく遊び、人生の大半はこの神社の境内で思案したり、心を落ち着けて穢れを祓ったりと思い出深い場所です。

県神社誌にある社伝・由緒には神武天皇がこの辺りを通る時、濃霧がひどく困っていたところお告げがありこの多田の妙見のお水を笹につけ振ると次第に霧が晴れて無事に進むことできたといいます。またこの多田の地名は神功皇后が三韓出兵の折に当地に立ち寄り、この地の霊泉(神池)、渓流(汐井川)で身を潔斎して皇子(応神天皇)の無病息災と延命長寿を祈願したこととあります。このとき皇后は、霊泉や神池、神森に囲まれたこの聖地を「ただならぬところ」であるといいました。そこから「ただ」という地名ができたという言われもあります。また同じ町内にある綱分八幡宮の神託でも「この霊泉をくんで清めよ」とお告げがあり、日若神社の霊泉の汐井川で清めはらうことが恒例になっていたとも言います。

大雨で数年前に大石が砕けて山からの鉄砲水で川が氾濫しダムを建造してから水がだいぶ汚れてしまいました。以前は、透き通っておりキラキラと砂鉄や砂利が光り輝き足や手を入れただけでも心が爽やかになり清々しくなりました。少しずつ、以前のように自然が回復してきてこの川の水も透明に恢復してきています。

妙見神社の神様は、伊弉諾神、素戔嗚神、そして闇雄神です。

この最後の闇雄神(クラオのかみ)は、別名で闇淤加美神(クラオカミのかみ)龗神・淤加美神・意加美神(オカミのかみ)高龗神(タカオカミのかみ)という名前があります。ご鎮座されている歴史的に有名なのは京都鞍馬の貴船神社です。

この神様は、水の神様であり、また雨乞いの神様であることから農業、醸造、染織、料理飲食、浴場など水に関わるお仕事の方々から深い信仰を集めています。私が取り組む暮らしフルネスでも、これらのすべての伝統を使った技術の甦生や伝承が深く関わりますから神恩を非常に有難く思います。

水は万物の穢れを祓い清める力を持っています。ちょうど、神社の裏側には鳥羽公園の池がありこの場所の水は地下水を汲み上げています。水の偉大なご利益があるこの場所にもっとも相応しく、これから大切にお祀りしていきたいと思います。

 

  1. コメント

    日本は、信仰心のあるなしにかかわらず、いろんな縁によって神々と通じ、見守られています。地縁を初めとして、その土地土地の風土に合った産業や暮らしは、本当に多くの神々の見守りに支えられています。そういう意味からすると、決して信仰は特別なものではありません。特別なときに、時々守られているのではなく、いかなるときも常にともに存てくださることへの感謝を忘れないようにしたいと思います。

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