日本の智慧と習わし

本日は、遠方から来客があり聴福庵でうなぎ料理をすることになっています。うなぎは、とても美味しい日本伝統の料理の一つで私も大人になってから特に大好物になって栄養をつけたいときやゲン担ぎの時に食べることがあります。

今日は一年の中でそのうなぎを食べるのに適した「土用丑の日」ということになっています。2020年の「土用の丑の日」は、7月21日と8月2日の2回で21日の方は「一の丑」となり、2日の今日は「二の丑」といいます。

この「土用の丑の日」の「土用」とは何かというと暦の「立春・立夏・立秋・立冬」の直前18日間のことをいいます。1年を24等分してそれぞれの「節気」に分けた「二十四節季」で夏の土用はこの立秋の直前ということになります。

夏の土用の時は「丑」に因んで「うのつく食べ物」を食べると縁起がいいといわれてきました。うなぎだけではなく、梅、牛、馬、ウサギ、など「う」のつくものを昔の人も食べていました。他にも春の土用は、「戌」でしたから「い」のつくものを食べる習わしもあり、いわし、イチゴ、インゲン豆、芋、イカなどが食べられていたといいます。秋は「辰」だから「た」のつくもの、冬は「未」だから「ひ」のつくものです。

この土用は、節分と同じく年間4回あって季節の変わり目の大切な時機でこの時に体調を整えるためにも食べ物や過ごし方に気を付けていきました。現代では栄養豊富な食べ物ばかりなのと、空調の完備で人間にばかり合わせているから、体の方や季節の方に合わせるという考え方がなくなってきています。そのため、体も弱体化してきてますし、季節感を味わう五感や感性も鈍ってきているように思います。

昔の人たちは、季節を細かく分けて、その時々に季節に合わせて自分を整えながら四季折々の旬を味わい、仕合せを噛みしめながら生きてきました。その豊かさは、とても心が繊細で感性の機微が美しく、穏やかな悠久の時を味わい、自然の優美や有難さを感じる機会が多かったのではないかと感じます。

特に日本の伝統的な暮らしのある民家で、静かに満たされてゆったりと四季を味わい滋養をつけるというのは格別なことのように私は思います。

子どもたちが季節のめぐりを味わい安心して暮らしを楽しんでいけるように日々の豊かさを味わう智慧や習わしを伝承していきたいと思います。

  1. コメント

    日本人は季節の変化の萌(きざ)しを敏感にとらえ、常にその変化に適応する智慧を養ってきました。その智慧のひとつは、「次の季節に備える」ということです。変化に対応できるよう身体を慣らしたり、旬のもので必要な栄養を摂取したり、作物を植える準備あるいは自然災害に備えるための準備にかかるという智慧です。この感性を失い智慧を生かせず、後手に回ってしまっている現状を反省しないといけないのではないでしょうか。

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