お金のトレーサビリティ

ブロックチェーンではトレーサビリティとの相性の良さがありよく利用されます。このトレーサビリティとは、「その製品がいつ、どこで、だれによって作られたのか」がはっきりすることで原材料の調達から生産、消費、廃棄までを追跡可能な状態にすることができる仕組みです。

このトレーサビリティは、トレース(Trace:追跡)とアビリティ(Ability:能力)を組み合わせた造語です。

もともとは、食の安全で有名になった言葉で狂牛病が切っ掛けでもあったといいます。現在、牛舎にいけば牛の耳に識別番号のカードがついているのを見かけます。あれは牛トレーサビリティの一環で、牛が生まれてから店頭に並ぶまでの履歴を後追いできるシステムがついています。狂牛病のまん延防止措置の的確な実施を図るため、牛を個体識別番号により一元管理するとともに、生産から流通・消費の各段階において個体識別番号を正確に消費者に伝達するという仕組みです。

ブロックチェーンの相性の良さは、追跡でき情報を集約できること、また改ざんできないことがあります。ここでは食の安全を守るということで、食に関するすべて有機的につながっているものを安心安全に保つ状態にすることをフードトラストともいい、ブロックチェーン技術が活躍しています。

そして最近では一歩進んで、お金のトレーサビリティがはじまっています。

お金というのはよく色がないといわれます。この色とは、お金は手に入ったものがどのように自分の手元にあるのかがわからないということです。つまり一生懸命に働いて誰かのお役に立って入ったお金、もしくは悪いことをしてくすねたようなお金、もしくはどこかに落ちていたのを拾ったお金、あるいはその人が一生をかけて奉仕のために貯金したお金であっても、財布に入ったり銀行に入ってしまえば数字や紙幣といったものになります。

どのようにそのお金がここまで流れ着いてきたのか、どのような経緯で今のところにたどり着いてこれからどのようにそのお金が使われていくのかなどまではわかりません。よくマネーロンダリングなどといって、よくないお金をいろいろなところを経緯して使いまわし洗浄を繰り返せば、汚いお金の汚れもすっかり消えてしまうともいわれます。

同じ100億円であっても、その100億円がどのようにそうなったのかは数字ではでないのです。しかし、これは先ほどの食の安全と安心、フードトラストと同じで、どこかで改ざんされたり、変な使われ方をしたり、偽装されてしまうと一番名枠を被るのは信頼して使っている人たちであることは間違いありません。

その信頼を保つためにも、はっきりとそのお金がどのように流れて使われているのかをちゃんと追跡して、それを集約して明確に可視化されていく必要があるのです。つまり正直に取り組む人たちの信頼を守る必要があるということです。それが目的をもってお金を使うことであり、その目的に合わせてお金を流して目的が達成できるように有機的にみんなが安心して関われるようにできるということです。

これがお金に色をつけるということになるという言い方になります。例えば、地球環境に配慮したものだけを使いたいとなればそのように色がついたものにお金を使います。もしくは、未来の子どもたちのためにつながるもの、もしくは自然物として分解されること、循環を促すための仕組みで取り組んでいる人たちへの投資としてなど使い方は様々です。

実際には、本物をやろう、本当に価値のあることに費やそうとするならばそれ相応の時間や労力は必ずかかります。それは目には見えないところであり、その人たちの志や初心、生き方のところです。安く便利に儲かることだけを考えて本物風や偽物を偽装するようなことをやっている人に騙されるのはいい思いは決してしません。そんなことが発生しないようにこのブロックチェーンのトレーサビリティはお役にたっているのです。

これからの世の中、私たちは無意味にただお金を使うようなことはできなくなります。なぜなら、モノがない時代から物があふれる時代になり、ただあればいいから、本物で善いものを持ちたいと思うように変化していくからです。それは価値観の変化であり、人類はそろそろ本物に回帰したいと願う人が増えてきたからです。それだけ、この世界は流通が行き渡り情報が覆ってしまったということを意味します。

ブロックチェーンの可能性は、この情報の追跡と集積による智慧の活用にあります。私も現在、古き善き新しい仕組みを開発していますがブロックチェーンとの親和性は抜群であり、未来の子どもたちにとっても価値のあるものを譲り遺せると直観しています。

引き続き、この場から世界に未来の在り方を発信していきたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です