人間には、「正常性バイアス(normalcy bias)」というものがあります。これは心理学の用語ですが医療用語としても使われています。簡単にいうと、想定外のことが起きたことにそんなことはありえないと思い込んでいる先入観や偏見(バイアス)がでてこれは「正常の範囲」であると自動的に認識する心の働きのことです。
これは何かがあるたびに過剰反応していたら、心身が追いつかなくなるのでそのストレスを回避するために自己防衛する仕組みです。しかしこのことで、災害や問題があったときに本来はすぐに対応しないといけないにもかかわらずこの脳の仕組みによって認識が本当の現実を受け容れられずに対応できずその結果、生命の危険にさらされるという内容です。
今回、ウクライナとロシアのことでウクライナの人たちが「まさか本当に侵攻してくるとは」とほとんどの人がショックになっていたというのを報道で見ました。私たちも外から見てて、世論も最初は脅しや一部の地域だけの侵攻かと思っていたら全面的に侵攻していきそこでまさかと考え始めます。そして第3次世界大戦が起きるのではないかと、それも今でもまさかそんなことはを思うようになっているはずです。
コロナの時も、想定外が発生して初動が対応できなかった国もたくさんあります。そして今は、戦争が発生してどのように想定外に対応するかが試されているのです。
昨日は、原発を攻撃したという報道が流れました。その時、私もまさかそんなことがとショックを受けましたが戦争ですからこれは当たり前に想定されることです。しかし、そんなことは起きてほしくないと思っていることや、まさかそこまではしないだろうとバイアスがかかっていることに気づきます。
本当の危機は、自然災害よりも人間の人災の方が確率も高く衝撃も大きいものです。これから世界がどのようになっていくのか、思考を停止させず危機に備えて動いていきたいと思います。