先祖返り

先祖返りという言葉があります。これは一般的には何代も前の先祖がもっていた遺伝上の形質が、突然その子孫のある個体に現れることをいいます。人間以外でも、植物や虫、動物などにも起きる出来事です。この先祖帰りというのは、原点回帰ともいえます。本来の姿がどうであったのかを思い出すのです。

もしも歴史を巻き戻すとしたらどうなるか、そうするとみんな先祖返りします。その時の先祖になるのです。時代は何回もそれを繰り返し、歴史を新しくしてきました。歴史が新たになることでまたやり直してきました。文明実験というものは、人間の一つの挑戦でもあります。

過去の遺跡が世界中のあちこちに遺っていますが、どれもむかしは大きな文明が栄えた跡です。その跡をみると、なぜ今、こうなっているのか。その時は一体どうやっていたのかということに思いを馳せます。

考古知新というのは、そのむかしを思い、そして今を知るために必要なことです。そして先祖返りとは、今を見つめ直しこの先の未来のためにもう一度、歴史から学んだ最も徳で治まった豊かで幸福な時代に原点回帰して結び直そうというという試みです。

こういう試みを遺伝子を含め、いのちは生き残るために何度も繰り返してきました。変化成長し、発展するようにできていると同時に原点回帰できるようにもなっているのです。それが変化そのものの本質であり、私たちがいのちのリレーをし循環のなかで生きている証拠でもあります。この多様化というものは、変化に適応するためです。この変化は、環境の変化もありますが精神の変化というものも同時にあるように思います。

これから精神がどう変化していくのか、環境問題とは別に精神問題というものがあります。だからこそ私たちは、かつて先祖たちがどのような精神で真の豊かさを築いたていこうとしたか、子孫に何を祈り、徳を積んできたのかを学び直す必要性を感じています。

世界にとって日本という場所と日本人は、とても大切な役割を果たします。子孫をことを考えれば、ツケを遺す生き方ではなく徳を遺す生き方に転換していきたいものです。先祖返りはもっとも尊敬する偉大な先祖の心に触れるところからはじまります。人間的にも成熟し、知恵を磨き、徳を養う、そういう先祖に近づけるように先祖返りの人々と志を合わせて結を繋いでいきたいと思います。

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