昨日は固定種の種から苗を育てた野菜を畑に移植していきました。もともとこの固定種とは、農家が自家採種といって種から野菜を育て種になったもののことをいいます。本来は、それは当たり前だったのですが種苗を扱う会社や組織ができて最近では品種改良やバイオテクノロジーを扱うところなども増えて種はもう買うものになっています。
農家にとって種はとても大切で、よい種、よい土は長い年月その土地に適応してきて馴染んだものです。その場所にとても密接です。今のように、人が都会に移住したりあちこちに移動するのが当たり前になりましたがむかしはその土地の地縁と結ばれたら基本はずっとその土地と共に人生を全うしていました。
だからこそ種もまた、その土地の大切なパートナーでありその土地に馴染んだものになっていくのです。私たちの体は土でできています。土が化けたものが野菜ですから、その野菜を食べているというのはその土地の循環の一部になっているということです。
その土地の循環の一部になっているというのは、その自然の一部になっているということ。その自然に近づき、その自然そのものに順応する。それが私たちの暮らしの基本になっていったのです。
寒い地域、乾燥した地域、水の多い地域、それぞれに出てくる自然環境は異なります。その異なる環境の中で、自分の体も、食べ物も、過ごし方、暮らし方、考え方や生き方に至るまで変わっていきます。その土地のものになっていくのです。
その土地になるというのは、そこで暮らしてその自然の一部になっているということです。子どもたちもまた、その土地から湧き出てきます。それが種です。種はあらゆる記憶をもって誕生し、前に体験したことを身に着け次の世代へとつなぎ結んでいきます。種と共に生きるのは私たちは自然に入るための大切な作法のようなものかもしれません。
引き続き、自家採種を楽しみながら自然農に取り組んでいきたいと思います。