私たちが今、観ていて現存している遺跡や寺院などはそれを守る人たちがいて存在しているのがわかります。歴史を調べれば、何度も荒廃し衰退する時節があったことがわかります。先日、ある国宝の寺院を見学する機会がありましたがその場所も一時期は屋根や扉が崩れ風雨に晒され破壊される寸前に人が住み守り甦生した場所でした。
誰かが現れては、その場所を守る。そしてその場所は、先人たちの遺志を守る場所とも言えます。形が壊れても、壊れていないものの存在を感知することができる人たちによって守り伝承されていくのです。
不思議なことですが、たくさんの想いのある人たちが活動した場所や、強い祈りや願いをした場所、みんなで磨き合ってきた場所には想い出のようなものが残っています。この想い出というのは、毎日消えていくようで実は面影のようなものがその場所に累積しているものです。それはその場所との関係性があり、その場所の他のものたちとのつながりによって感じられるものです。
調和というものもまた、長い時間をかけた関係性によって育まれていきます。
その関係性はお手入れによって甦生しますから、丁寧に錆びない関係を磨いていくしかありません。あらゆるものは、自然に淘汰されていきます。どんなものでも風雨風雪に晒され朽ちていきます。そうならないようにするには、その都度、それに気づいた人が新しい関係を結んでいく必要があります。
それまでの関係を尊重しながら新しい関係を結んでいくのです。
そうやって連綿と思いや関係を結んでいくなかで、想いは伝承されていきます。思いが伝承されれば、その想いはより洗練され、そしてシンプルになり強く広がるものです。
子どもたちのためにも、そうあるような自分で生きていきたいと思います。錆びない関係を磨き上げていくために、自分の覚悟を実践していきたいと思います。