故郷や地域の歴史を深めていると、立派な功績を遺してくださっている偉人に出会います。特に、子孫のためにと活動して命を賭して取り組んだ人の遺徳は今でも地域の宝として残っています。
時代背景が変わり、暮らしが変わっただけでなく大切にしてきたことも変わってきました。今があるのは、当然、むかしの御蔭の集積であり、私たちはその積み立ててきた徳によって存在することができています。恩人たちの恩を如何に次世代に伝えていくかは、人がその場所でより善く幸せに生きるためにも子孫への教育は重要になってきます。
この子孫への教育とは何をすべきか、それは徳や恩を伝承することだと私は思います。学校の一般的な教科などを教えることも大切かもしれませんが、そもそも自分たちのルーツがどうなっているのか、そしてなぜこの土地で今の自分たちが暮らしているのかなどの原点や文化などを学ぶことで自分たちがどう生きるのかを感じるように思います。
私もルーツを辿ったり、故郷の遺徳を学ばなければ自分の心身を通して脈々と流れている生きている歴史を知ることはありませんでした。なぜ今、此処にいるのか、そしてこれをやるのかなどの理由の初種はすべてむかしからの結びや繋がりにあります。
そして出会う人たちもまたむかしにご縁のあった人たちばかりで、あるいはその志を同じくする仲間や友人たちが姿かたちを変えて顕れているからです。言い方を換えれば、懐かしい人たち共に懐かしい時間を味わいながら時を旅しているともいえます。
この時の旅を知ることは、自分がなぜ今、ここにありこれをやるのかを知ることであり天命を知り安心するためにも重要です。
現代は、歴史も過去の終わったものになり、遺徳も古臭い昔話になっていたりします。本来の意味を忘れ、現代の目先にどっぷりと沈んでしまえば時の旅をしていることを忘れて今の享楽にただ浸ってしまうものです。
自分の天命を思い出すことや、自分の仕合せやご縁に立ち返るためにはまず自分のルーツを知り今までのすべてに感謝する機会を持つことが重要だと私は感じます。子孫の仕合せもまたそこにあります。
教育の中でももっとも尊いこの徳育を伝承していきたいと思います。